新学年の始めにぴったり!5つのスピーキングアクティビティ

これから始まる新学年、新しいクラス、新しい生徒たちとの出会いが待っています。授業初日は、生徒たちと触れ合い、これからの方針を伝えるチャンス。1年の幸先の良いスタートを切る事が重要です。 今回ご紹介する5つのスピーキングアクティビティは、生徒たちの関心や英語のレベルを探るのに役立つと同時に、生徒たちにとってもクラスメイトと交流して良い関係を築くきっかけとなり、快調なスタートを切ることができます。

1. ボール送りゲーム

ボールを使ったゲームは、生徒がゲームを楽しみながら緊張をほぐし、英語を思い出すようにするためにもってこいです。体を使ったアクティビティの最中は言語面だけを意識せずに済むので、プレッシャーから解放されるのです。
  • 授業が始まる前に、生徒に答えさせたい質問をいくつか用意しておきます。初対面の生徒たちには、「好きなもの」「嫌いなもの」「趣味」などを尋ねる質問を選びます。生徒同士前からお互いを知っている場合は、お休み中の体験に関する質問も良いでしょう。
  • 生徒たちは教室の床で円になって座り、ボールを転がしたり投げながら、先生が準備してきた質問をお互いに訊いたり答えたりします。
  • 生徒が見ながら質問できるよう、質問を掲示しておきましょう。ボールを持っている生徒は質問をしてボールを投げ、受け取った生徒は質問に答えます。
ヒント: 質問を掲示しておく代わりに、全質問を書いたルーレットを各グループに一つずつ渡し、担当の生徒がボールをパスするごとにルーレットを回転させる、というやり方もあります。 他にも、色分けされたビーチボールを使い、各色の部分に質問を書いておいて、生徒に色を選ばせてもいいでしょう。

2. 「ピザとパスタ、どっちがいいの?」

英語圏ではパーティの定番ゲーム「Would you rather…?(どっちの方がいい?)」の簡易バージョンです。先生は2つの選択肢がある質問を投げかけ、生徒が好きなほうを選ぶ、というものです。
  • 生徒たちを教室の真ん中で一列に並ばせます。クラスの人数が多い場合は、廊下を使うと良いでしょう。
  • 先生は「ピザとパスタ、どっちが好き?」などの質問を投げかけ、選択肢ごとに右か左を指差します。考える時間を数秒間与えた後、生徒たちは自分の選んだ答えにしたがい右と左に分かれます。
  • 次に、前の生徒がすぐ後ろの生徒に自分の選んだ答えについて説明します。列の最後で1人余るときは3人組にします。年齢の低い生徒なら、「I like pizza.」など、自分の選択肢を英語で言うだけでいいでしょう。
ヒント質問が終わるたびに最前列の生徒が後ろに移動するようにすると、毎回違う生徒同士組むようにできます。

3. 友達探しビンゴ

このアクティビティは 「Find someone who… (当てはまる人探し)」をアレンジしたもので、生徒のレベルに合わせた応用もできます。
  • 3マス×3マスの線を引いたビンゴ用紙のプリントを作ります。それぞれのマスには、少なくとも生徒の1人は当てはまりそうな内容(例:「3月生まれ」「夏休みにアメリカに行った」「『スター・ウォーズ』ファン」)を書きます。
  • プリントを生徒全員に配ります。生徒はクラスを歩き回ってそれぞれのマスの内容について質問をし合い、「Yes」という答える子が見つかったらマスにバツを書いて潰し、別の子に質問します。
  • 全マスを攻略した生徒が優勝です。
ヒント: 生徒のレベルが高いクラスでは、マスの数を増やすか、自分でマスを埋めさせます。レベルの低いクラスでは、マスに言葉ではなく絵を入れておき「Do you like …?という質問に絞る、というやり方もできます。 ビンゴ用紙のサンプルはこちら

4. 共通点と相違点探し

2人組で質問をし合い、お互いの共通点と相違点を見つけ出すスピーキング&ライティングアクティビティです。
  • 2つの円を交差させた「ベン図(下図参照) 」を大きく印刷したプリントを用意しておき、1組に1枚配ります。もしくは、生徒たちでノートに手描きでベン図を描かせてもいいでしょう。
  • 2人組になって、下記のような質疑応答をします。
    生徒A: Do you have a pet? 生徒B: I have a dog. 生徒A: I have a cat. That’s different.
  • 生徒たちは図の中に単語や短い語句を書き込みます。5~10分で完成させるように指示しましょう。
  • 次に4人組になり、各自仲間と発見を共有します。(例:「My birthday is in May but Luisa’s birthday is in August.」)

5. なりきりアクティビティ

生徒の中には、知らない相手には自分の話をなかなかしたがらない子もいます。恥ずかしがりだったり自信がなかったり、新しいクラスの子にどう思われるかを気にしたりと、特に思春期手前の生徒に多い傾向です。そんな状況への対処方法として、キャラ設定をしたアイスブレイク用アクティビティはいかがでしょうか。
  • 生徒に、新しい、架空のキャラ作りをさせます。名前、年齢、国籍に始まり、家族構成や趣味・関心、性格まで、すべてを作り上げます。
  • 生徒の想像力をかき立てるため、写真を何枚か用意します。生徒は漫画の登場人物を選んでもいいですし、キャラを完全に創作してもいいでしょう。
  • キャラ作りができたら、その役柄になりきります。
  • パーティーに出席し、たくさんの素敵な人々と出会う、という状況設定をします。BGMを流し、生徒たちは教室内を歩き回って周りに自己紹介をします。質問を交わし、雑談をして、できる限りお互いのことを聞き出します。

ヒント: 生徒が自分のキャラになりきるための帽子、メガネ、カツラなどの小道具や衣装を用意しておく(もしくは生徒に持参させる)と、アクティビティがさらに楽しいものになります。

作者: Joanna Wiseman (ジョアンナ・ワイズマン)、Primary マーケティング・マネージャー 、Pearson English

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「Big」な質問から始めよう

「Go」という言葉から、どうやって生徒に興味を持たせられるだろうか — 新しいトピックや課題を紹介しようというとき、どこの国の先生方も、そんな自問自答をすることでしょう。本記事のタイトルからお気づきかもしれませんが、今回のテーマは「質問のしかた」です。
何かをそのまま述べるだけよりも、質問にすることでさらに会話や刺激が生まれるもの、そう普段の人間関係から実感している方もいるかもしれません。では、もう少し突き詰めて考えてみましょう。次の2つの話し方を聞いた生徒は以下のどの返答をするでしょうか? A) 今週のテーマは、「宇宙開発」です。 B) 宇宙を開発することは大事だと思いますか? 生徒の反応:
  • 賛成意見または反対意見を表明できる:A or B
  • 知識に基づき、トピックについて会話を始められる:A or B
  • 自分の意見には価値があると感じる:A or B
  • トピックについて、自分も意見を言えると思う:A or B
  • このトピックは先生が進めるのだろうと思う:A or B
質問文のほうが断定文よりも生徒を引きつけることは明らかですね。生徒たちは想像力を働かせ、反応も良くなり、深く考えるようになります。 ただし、どんな質問文でもいいというわけではありません。生徒を考えさせ、会話につながる質問もありますが、単純なイエスかノーで終わってしまい、後が続かない質問もあります。 そこでおすすめなのが、「Big」な問題についての「Big」な質問です。このタイプの質問は、会話や学びを続かせます。

そもそも、「Big」な質問とは?

「Bigな質問」には正解がなく、アイデアや意見が湧くきっかけになります。また、授業でこれからこのトピックを扱い、新しい情報を学び、そして知識をシェアし合うのだ、という認識を生徒に与えます。 では次の質問の中で、どれが「Bigな質問」だと思いますか? 生徒が最も関心を持ちそうな質問はどれだと思いますか?
  • 家では電気を使っている?
  • 電気はどこから来ているの?
  • 「ヒーロー」の条件とは?
  • あなたの好きなスーパーヒーローのキャラクターは?
  • どうして学校に行くの?
  • 学校は好き?
  • 地元は田舎? それとも都会?
  • どうして人々は都市に住むの?

「Bigな質問」を使ってトピックを紹介した後は?

「Bigな質問」をした後は、生徒たちがもっと積極的になり、進んで発言し、ただし場を独占しない程度に見せ場を持つようにしなければなりません。ですから、生徒に様々な形で答える機会を作ることをおすすめします。例えば、こんな指示ができます:
  • メモを取る
  • 絵を描く
  • グループや二人組で話し合う
  • 一人ずつ、クラス全員の前で話す
他にもおすすめなのが、掲示板の利用です。「Bigな質問」を掲示しておき、生徒たちに、自分の描いた絵、メモやアイデアを加えてもらう、という使い方ができます。「Bigな質問」には完全な、簡単な答えは存在しないため、生徒には途中でアイデアや意見を修正しても、新しく足してもいいのだと念を押しておきましょう。 よく考え、思いつくままに意見を変えたり、アイデアを試したり、議論の題材を提案したりしてもいいのだという意識は、思考力の成長に欠かせません。 最初からすべてうまくいく必要はない、と生徒に伝えることも重要です。思い違いをして発言した後に、考え直してもいいのです。「Bigな質問」も、工作や、共同制作作品のようなものだと考えてみましょう。小さなアイデアであれ大きなアイデアであれ、好きなように表現させてあげましょう。

思考や知識を培うには?

「Bigな質問」を答えやすくするには、刺激や情報、事実やアイデアといった材料を使って、生徒が知識を広め、意識を高める補助をしてあげる必要があります。 方法はたくさんあります。例えば、先に紹介した「Bigな質問」のうち「電気はどこから来ているの?」であれば、太陽や、風力・水力発電についての話をしてもいいでしょう。化石燃料の発掘についてや、化石燃料はなぜ再生が難しいのかについて、でもいいかもしれません。 そうすると、自分が、どんな資源から生まれた電力をどう使っているのか、環境への意識を高めることはできるのか、どうしたら可能になるのか、など考えるきっかけになります。 こういうアクティビティは、段階を踏んで進めることが大事です。「太陽」をサブトピックに選んだら、こんなふうに話題を掘り下げてみてもいいでしょう:
  • 太陽とは何か? 太陽は何からできているの?
  • 太陽が地球にもたらしているものとは? 太陽の光はどのように利用されているの?
  • 太陽エネルギーは、生活や産業でどんなふうに活用されているの?
  • 太陽エネルギーは再生可能なの?再生できる自然エネルギー源には他に何があるの?
  • 再生可能エネルギーを使うといい・必要なのはなぜ?
年齢の低い生徒向けの「Bigな質問」についても考えてみましょう。例えば、「どうして学校に行くの?」なら、こういう掘り下げ方をしてもいいでしょう:
  • 学校ではどんな授業があるの?
  • 好きな科目は何?
  • どうして算数を習うの?
  • 学校以外で算数を使うことはある? いつ、どこで、どうやって使うの?
  • 他の科目は、学校の外でどんな風に使えるの?
  • 勉強以外には、学校でどんなことをしているの?
  • クラスの子と一緒にいるのは好き? 一人でいたいこともある?
  • 一日中家にいても、学校でしていることを全部できると思う?
  • この先学校でやってみたいことは何?

時間をかけてゆっくりと

「Bigな質問」は、リーディング、ライティング、スピーキングなどの技能の練習にもなりますが、「Bigな質問」を使って新しい単語や文法を教えることもできます。ですから、あせらずゆっくりと進めましょう。量は少なめでも、時間をかけて生徒が学習内容をすべて吸収する時間を与えるほうが得策です。教科書を使うのは結構ですが、進度を気にする必要はありません。どんな話題であっても、さっさと通り過ぎてしまうよりも深く掘り下げて学ぶほうが満足感を得られるものです。何よりも、そうすることで楽しく、記憶に残る授業になるのですから。

About Jeanne Perrett

ジーン・ペレット先生はサセックス大学英文科卒、1981年からギリシャ在住。35年以上にわたり教師、校長、発行人、ライターとして言語教育業界に携わり、著者としても著名な幼児や児童向けのEFLシリーズをいくつも手がける。児童英語コース『Now I Know!』シリーズの共著者でもある。世界中の英語教師を教え、英語教育カンファレンスでも多数講演。4人の子を育て、今では5人の孫を持つという実践的な経験も生かしている。

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子どもにも学びが「見える」教え方

現代社会では、睡眠の質から車の運転の技術に至るまで、生活のありとあらゆる側面を確認することができます。学校もこの例外ではなく、保護者から学校経営者、政府までが児童の学習状況について多大な関心を寄せています。 生徒の学習進捗把握にこれまで以上の時間を割くことや報告書を書くこと、保護者を安心させることなど、多くの役割が期待され多忙を極める先生方も多いことでしょう。もちろん、上達を確認することは成功を讃えることに繋がり、ポジティブな効果があります。でも、私たちはこの中で最も大切な「子どもたち自身」を忘れていないでしょうか?

学習者のニーズに合わせた指導のその先へ

子どもの英語指導者は、学習者のニーズに応えることに秀でていますので、楽しめる要素—ゲームや歌やお話、課題に工作などが盛りだくさんの授業を計画します。だからこそ、いっそう子ども側は自分がどんなにたくさんのことを学んでいるのか、全く気づいていないということも珍しくありません。 「今日は何を学んだの?」と問いかけると、口を揃えて「別に何も」と答える子どもたち—そんな歯がゆい場面に心当たりのある先生も多いはずです。何も学んでいないわけがないのですから!文法、語彙、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングを教えていますし、子どもに言動を意識させ、手足や指先を動かすことも授業の一環です。学習ストラテジーやデジタルリテラシーを養い、さらに協働・自立作業の機会も与え、他にももっとたくさんのことを学んでいるはずなのです。 「別に何も」という答えではなく、生徒が「授業で何をしたのか」そのまま挙げられるように、やり方を工夫してみてはどうでしょうか。これは難しいどころか、関係者全員にとって有益なことでもあります。子ども自身が「学習過程に関わる」と、本人の達成するレベルも高まるという研究結果も出ています。ここでの「学習過程に関わる」とは、何を学習しているのか、どうやって学習しているのか、そして先生に期待されていることは何か、子どもが自覚することも含まれます。 「自覚」は、21世紀を生き抜く上で必要不可欠な能力の1つです。私たち教師にとっては、子どもが自身の学びに気づき、理解し、それを自ら口に出すよう促せば、保護者に対して子どもが遅れずついて行っていることを納得させられる、ということも大事なポイントです。 以上を踏まえて、子どもの英語クラスにおいて学びが「見える」ようになるためのコツをいくつかご紹介します。

1. レッスンメニューを使う

授業の始まりと終わりに、子どもたちに「レッスンメニュー」を見せ、これを使ってその日の授業について説明します。これを「Can-Do」項目の形で書くと、その日学習したことを子どもに意識させるのに特に効果的です。 「Can-Do」項目に対し、授業の始まりに子どもたちが「Yes」「No」(または親指を立てる/下げるなどの動作で示す)で答えてもらい、子どもが既に知っていることは何か、どこに知識の差があるのかを把握しましょう。そうすれば、生徒が本当に勉強する必要がある内容に貴重な授業時間を充てることができます。 そして、授業が終わるまでには、子どもたちは「Can-Do」項目のうちいくつかには「Yes」と答えられるようになっているはずです。生徒が「Yes」と答えない場合、次の授業の課題が何か、自ずとわかりますよね。 レッスンメニューは、子どもの関心を授業内容に向けることができますし、子どもに大いに安心感を与えます。授業の進度を把握することで、自分の学習に対する責任感と自主性が生まれるからです。 最後に、授業の終わりに何を学んだのかを話すことで、子どもたちは帰って保護者に今までよりもっと上手に同じ情報を伝えられるようになるという効果もあります。

2. 成功条件を示す

子どもの学習者は、アクティビティを終わらせるのに最短ルートを辿ろうとする傾向があります。1単語で答えたり、不完全な答えを言ったり、憶測で答えたり、これではアクティビティの効果が中途半端になってしまうことも多いでしょう。そこで役立つのが「成功条件」です。 「成功条件」とは、要は指示の延長です。アクティビティを成功させるのに何をすればいいのかをはっきりと示すもので、どんなタスクにも使えます。ここで、何を以って「成功」とするのか手本として見せる際に、生徒たちの助けも借りるようにできれば理想的です。 ハガキを書くというアクティビティであれば、見本となるハガキを見せて、どの要素が重要なのかを生徒たちに自分で考えさせるようにします。プレゼンテーションであれば、どんな例を見せるかを考えましょう。必ずしも良い例を見せる必要はありません。悪い例も、避けるべき行動は何かを教えるのには非常に効果的な場合もあります。 アクティビティの後で、生徒たちは自分の進捗を振り返ったり、2人組で評価し合ったりする際に「成功条件」を参考にします。先生側も、「成功条件」を元に、生徒にとって有意義な、詳しいフィードバックを与えることができます。

3. その都度、継続して評価する

生徒を評価するのに、学期の終わりまで待つ必要はありません。私たち教師は生徒を常に観察しています。気づいたことをその都度記録しておくことで、生徒の強みや努力が必要な部分について理解するにあたり鍵となる情報が得られるうえ、長期的には時間の節約にもなります。 子ども学習者の場合、言語面だけではなく、行動面や発達面での目標も意識しておく必要があります。例えば単独作業、グループ作業、独創的思考や批判的思考、ストレスへの対処などです。 褒めるべき時に褒めることは、子どものやる気を大きく刺激します。様々な条件を広く考慮すれば、どんな子どもでも、その子自身の学習の中で褒められるところがあるものです。ここで大事なのは、子ども一人一人を個別の人間として見ることです。そうすれば、子どもと子どもを比較してしまったり、意図せずに言語能力で順位を付けてしまったりといったことを避けられます。 こちらのチェックリストを、その都度生徒に評価を付け、継続して観察するのに使ってみてください: Continuous assessment checklist

以上、子どもを教えるにあたり、学びが「目に見える」ようにするアイデアをいくつかご紹介しました。 参考資料:
Hattie, J. (2012). Visible learning for teachers. Maximising impact on learning. Routledge.

About Amanda Davies

アマンダ・デイヴィス先生は児童英語教育アカデミックマネジメントでも長く経験を積んだ、経験豊富な教師、教師指導者、教材開発者、著者であり、編集者でもある。子ども英語教師の職能開発に熱心に関わっており、カンファレンスでの発表や、記事やブログの執筆、対面そしてオンラインでの教師研修を定期的に行なう。子どもの外国語学習プログラムを専門とする国際教育コンサルタントでもある。ポーランド在住で、英国、ロシア、スペイン、レバノン、エジプト、トルクメニスタンでの実績を持つ。IATEFL Young Learners and Teenagers Special Interest Groupの出版物編集者。

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子どもたちのモチベーションを維持し、自信を持たせる5つのコツ

児童英語教師が子どもたちにつけてあげられる力、「教えてあげられる」ことは何でしょうか。単語でしょうか? 文法でしょうか? もちろんこれらも大事なのですが、これからずっと続く英語学習に対するモチベーションを芽生えさせ、育み、自ら学ぶことのできる子どもに育てるにはどうしたらいいのでしょうか。

1. 子どもたち同士の学び合い—Active learning

だいたいどの学校も教室も初級・中級、または学年でレベル分けをされていると思います。けれども、その分けたクラスの中にもさらにレベルの差や違いがあります。「どのクラスもmixed-levelである」という現実に立ち、どうやってその差や違いを活かし、子どもたちが学び合い、伸ばし合える授業づくりができるのか—それが教師の課題です。 教室内で何か課題を与えると、必ず早く終わる生徒、時間がかかる生徒など個人差が出てきます。先に終わってしまう生徒は、最初はすぐに答えを言ってしまい、友達をうまく助けることができません。挙げ句の果てには私に、“Don’t say the answer!” と怒られてしまうこともあります。そんな生徒も、だんだんと友達を上手にサポートできるようになっていきます。 メル・シルバーマンという心理学者はActive Learning Credoの中で、学びについてこう述べています:

What I teach to another, I master.
 かの有名なLearning Pyramid モデルでも、「他の人に教える時、最も学習内容が定着する」と言われています。 あるレッスンで、二人で一冊の絵本を音読するという課題を与えた時のことです。「わかんない!」を連発していた男の子とペアになった女の子は、自分は読めるけれど、その男の子に対して「読んであげる」のではなく、ただ寄り添い、「ほら、これ前のページに出てきた単語と同じだよ」と教えてあげながら、必要な時は指差して促すことでその男の子が自分で読めるように手助けしてくれました。まさに“little teacher”です。そして、レッスンの後半、この「わかんないboy」が「読める男」に変身したのです。私の教室では、こんな感動の場面が日々見られます。子どもたちには、「わたし、ぼくにもできる!」と思わせてくれる教師、友達が必要なのです。 私の生徒たちは「ぼくもたくさんワークブック進めてくるぞ!」「私もあんな風に絵本を音読できるようになりたいな」「私も英語日記書いてみよう!」という風に、日々学び合い、伸ばし合っています。

2. Self-Efficacy(自己効力感)

私は、先にself-efficacyという言葉を知って、それを目指してきたわけではありません。2017年つくばで開催されたJALT(全国語学教育学会)で何度か耳にしましたが、最初は意味を知りませんでした。調べてみると、なんと! 私が長年大事にしてきたことだったのです。今では自分の教え方や目指すもの、教室で起こっていることにself-efficacy=自己効力感という言葉がぴったりだと実感しています。 「自己効力感」とは、ある課題に対して自分がどれだけできそうかと感じる気持ちです。自己効力感の高め方には4つあります。小さな成功体験を重ねること、自己効力感が高い人をお手本として観察すること、自己効力感が高まる言葉をかけてもらうこと、自己効力感が高まる状況に身を置くことで、やればできる!という自分への信頼、自信が身につくのだそうです。 例えばこんなシーンです。CDをかけるとすぐに歌いだすTくんに、Yくんが「英語の歌を一回で覚えられちゃうなんてすごい才能だね」と声をかけてくれます。これが「自己効力感の高まる言葉」です。また、レッスン中なかなか声の出ないNちゃんが、良く発言するTくんにくっついて、Tくんの話す英語に耳を傾け、自信をもらい、次のレッスンには家でCDをたくさん聴いて、スラスラ言えるようにしてきてくれます。Nちゃんにとっては「自己効力感の高いTくんをお手本とし」て自分の自己効力感を高めた瞬間であると同時に、Tくんにとっては「自己効力感の高まる状況」でもあったのです。

3. 予習能力を育む

ある新聞記事で、百マス計算でおなじみの陰山先生がアクティブ・ラーニングにおける「予習能力」の大切さについてお話しされていました。私の教室では生徒のほとんどが、ワークブック、テキスト、プリントなど各自取り組んでいるものを、進めたいだけ進めてきた状態でレッスンに参加します。「反転教室」「反転学習」においては、生徒は教室で初めて何かを習うというより、CDを聴いたり、テキストに目を通して予習をしてからレッスンに臨みます。それを教師やクラスメイトが引き出し、刺激し合ってさらに高めていく。そういうスタイルです。 私はレッスン中、子どもたちが家で頑張ってきたワークに目を通しながら、「うわっ、こんなにやってきてくれたの!すごい」「毎日やったの!えらいね!」と声をかけています。頑張った子はその日自然とリーダーになります。「何にもやってない」と自分を過小評価して言う生徒が時々いますが、Student Bookの中のCDが抜きとられていたら「ほらね!家でCD聴いてくれてるじゃない」とコメントします。もし家で何もやってこない生徒がいれば、「何か」やってきてくれるよう励まし、何かやってきてくれた時にはたくさんほめるようにしています。 こうしたやりとりから、子どもたちに「家で頑張ると何かいいことがあるぞ」と思ってもらいたいと思っています。

4. Formative Assessment(形成的評価)の力

学習の評価には大きく分けて、「formative assessment(形成的評価)」と「summative assessment (総括的評価)」とがあります。一見、活発で良くできていそうな生徒がテストをするとできないことがありますが、英語そのものを理解していないというよりも、「指示をきちんと聞く、読み解く」とういう訓練が身に付いていないだけの場合もあるので、そういうテストももちろん大事です。一方で、日々のレッスンの中で行えるのがformative assessmentです。つまり「よし、今から評価するぞ」と固く構えて形式的に評価するのではなく、日々のレッスンでまず子どもたちのいいところ、伸びに注目し、それを口頭で伝えていくという評価方法です。 最近の教材にはCan-Do評価を生徒自身ができるような工夫がなされていますので、そういう項目も活用することで、生徒自身も「私は○○できるようになった」と自己評価する機会が得られます。私からは、「すごいね、ここ全問正解!」「何度もやったからdoesはばっちりだね」など単元やターゲットとなる文法についての理解度を評価して伝えます。 私の教室に来る生徒はほとんどが保護者の送迎で通ってきているので、毎回保護者の方が教室にいらっしゃいます。この状況を活かし、私が教室開校当初から行なっていることが一つあります。保護者の方を全員教室に招き入れ、その日の子どもたちの様子を10分〜20分程度でお話ししています。そこではこんなフィードバックをします。「○○くん、今週はたくさん家で課題をやってきてくれましたね。It’s/It isn’tの違いも良く聴き取れています。お父さんも勉強を見て下さっているとのことで、ありがとうございます! 前よりも丁寧に書けるようになっていて、単語と単語の間のスペースができてきました。私が他の生徒を見ている間に、間違いを自分一人で直してくれていました。」このように、ただ良くできていたと漠然と伝えるのではなく、できるだけ具体的に、そして気持ちも添えてコメントするのです。そのために、レッスン中、子どもたちが輝く瞬間、発話を心にとめて、保護者の方や子ども本人にその場で、その日に伝えるように心がけています。お会いできない保護者の方とはメールや連絡ノートも活用しています。 formative assessmentは、教師が一方的に一回で与えるテストとは違い、時間をかけて生徒たちと作り上げていくものです。教師は、生徒とのやりとりを通して、生徒が今できていることやこれからの課題を見つけて提案し、本人の興味を引き出します。この作業自体が、教師自身の教え方についても振り返りの機会となり、レッスンをより良くしていくことにつながるのです。

5. ピグマリオン効果と英語教授

親や教師、周囲の人が「あなたは素晴らしいよ、成績が伸びるよ」と期待を持って接すると実際に成果が出るという現象を「ピグマリオン効果」というそうです。私も「CD聞きなさい! さもないと」とプレッシャーを与えるのではなく「頼むね。CD聴いてきてね!」と声がけします。「毎日やりなさい!」ではなく「全部で15分ぐらいしかかからないはず、頑張って」「やらなきゃだめ!」ではなく「やってきてくれたら嬉しい!」という風に声がけしています。 私の教室ではピグマリオン効果ならぬ「Mちゃん効果」(Mちゃんの頑張りに刺激されてうちの子も頑張っています、の意)など、保護者の方たちがネーミングした様々な効果も見られています。お友達の素晴らしいところを素晴らしいと認めてほめる保護者と、それに応えて伸びていける素直な生徒たちは本当に素晴らしいです。学校、教室でそういったあたたかい雰囲気ができていると、子どもたちの自己効力感が高まり、子どもたちのモチベーション、自信も必ずや高まっていくと思います。

さいごに

私たち英語教師が同じ生徒と関われるのはほんの短い間です。小さい頃にこういった自己効力感が育てば、どんな課題にも対応できるようになり、中学校、高校、大学、社会に出てどんな場に置かれても、自ら課題を見つけ、学んでいけると私は信じています。

清野明子先生について

早稲田大学卒業後、コロンビア大学ティーチャーズカレッジで英語教授法修士号を取得。成城学園初等学校、武蔵中学校・高等学校で講師として従事した後、長野県松本市へ転居。自身の英語教室で幼稚園児から小学6年生を指導して10年以上になる。グループで学習するダイナミックさと個々のニーズに答えた学習を融合させた、現代版「寺子屋」スタイルでの教育に従事。塩尻市教育委員会のティーチャー・トレーナーや、ベネッセのワールドワイド・キッズのスーパーバイザーを務めた経験をもつ。「English Land」の共著者。

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