コースブック・CAN-DOリスト・ポジティブピアプレッシャーでプレゼンテーション能力の向上を図る

私たちの高校は、文部科学省が行った平成29年度英語教育改善のための英語力調査において、読解、リスニング、ライティングの分野がほぼ全国平均スコアと横並びの状態です。ところが、英会話では全国平均が5.7(14点満点中)であるのに対し、本校のスコアは11.7を達成しました。非常に喜ばしい状況です。しかしながら、このスコアはいかにして達成されたのでしょうか?
教科書 教科書の価値に確信を持てない教師が多くいますが、優れた教科書はコースの骨組みとなり、教師の仕事を充実したものへと導きます。さらに、CAN-DOリストが考慮された(CEFRやGSEなどで普及した)コースでは、教師と生徒が明確な目標に向けて集中して取り組むことができます。本校では現在、English Firsthandを使用しています。この教科書は生徒がすぐに実施することができる適切で高品質なアクティビティが提供されているので非常に便利です。さらに、オーディオには様々な英語のアクセントが含まれており、レッスンの目的も明確に記述されていて、レッスンの順序も論理的に構成されています。モバイル操作に慣れている生徒たちは、オンライン教材MyMobileWorldを使用して、教室の外でも発音やその他のスキルの勉強をすることができます。 生徒のプレゼンテーション 私たちにとって特に興味深かったのは、English Firsthandの Presentation Modelです。この教材では、生徒は様々なトピックについてプレゼンテーションを作成する方法をビデオモデルで見ることができ、生徒自身でプレゼンテーションを作成するためのサポートも提供されています。また、モデルは、自然で作り過ぎないレベルのパフォーマンスであり、生徒がアプローチし易いようです。 本校では、まずリハーサルとして生徒10名でグループをつくり、生徒たちは順番でプレゼンター、アドバイザー、エバリュエーター、タイマーとなります。また、生徒がプレゼンテーションを計画するために、ローテーションスケジュールと評価シートを準備しています。生徒がアドバイスと評価をすべて集め終わると、生徒は他の生徒からの評価を用いて、プレゼンテーションの問題点を改善します。自主練習期間を経て、本番で生徒たちは熟慮されたプレゼンテーションを発表することができるのです。
Role Rolling Model
Role Rolling Model
CAN-DOリストと生徒のプレゼンテーション 生徒がプレゼンテーションを行うにあたり、本校ではCan-Doリストとスピーチを直接結び付けて、英語で活動する能力を具体化できるようにしています。ここで重要なことは、生徒たちは各自が選択したCAN-DO目標を共有し、他の生徒はプレゼンターである生徒が選択した目標に基づいてアドバイスや評価を行います。 本校のクラスでは、生徒が他の生徒たちとプレゼンテーションの準備を始める前に、良いプレゼンテーションの明確なモデルについて学びます。その後で、生徒はプレゼンテーションを作成し、他の生徒からアドバイスをもらい、評価を受けます。プレゼンテーションが完了した生徒は、もう一度プレゼンターになる順番が来るまでアドバイザーやエバリュエーターとして参加します。 生徒たちは、プレゼンターとしてだけでなく、アドバイザーやエバリュエーターの役割を通して、ボディランゲージ、アイコンタクト、自信、スピーチの聞き取りやすさ、考えの構成、ビジュアルエイドなどのようなプレゼンテーションスキルをより徹底的に学ぶことができます。
Evaluation Sheet Example
Evaluation Sheet Example
結論 Can-Doリストを中核としたコミュニケーションに特化した教材を使用し、生徒同士でアドバイザーやエバリュエーターの役割も担いながら、プレゼンテーションを徹底的に繰り返し練習することで、本校の生徒の英会話能力と自信が大幅に向上しました。

関連リンク

FacebookTwitter

体験談:GSEを活用した迅速かつ柔軟性のあるカリキュラム構成

教師はいつも多忙です – しかも、大規模な教育機関でさえ、フルタイムのカリキュラム作成専任スタッフがいることは稀です。所属する組織から教師が多数のクラスのカリキュラムを数ヶ月で作成するよう依頼されるケースも珍しくありません。教師には期限内に良質なプログラムを作成するというプレッシャーが重くのしかかります。これは、本校での私たちの経験そのものです。ですから、ピンポイントに各レベルの学習指標(CAN-DOリスト)が用意されているGSEを発見したとき私たちは本当に喜びました。関連性の高い良質なカリキュラムを素早く作成できるようになったからです。 
我々の状況 私たちが受け持っている生徒は、本大学の英語学部の1年生と2年生の生徒たちです。プログラム全体としての目的は以下のとおりです:
コミュニケーションおよび学術的なスキルと能力、および日本国内の大学生として、そしてグローバルコミュニティの一員として意味あるディスカッションや研究を行うために必要となるコンテンツナレッジを培うこと。
これらの目標はコミュニケーションと英会話にも重きが置かれた、本校の4技能を軸とする総合英語学習でも以前から謳われてきたものです。本校では、運営上の判断によって英検準一級が学習目標に追加されて以来、長きにわたって機能性重視のシラバスが採用されてきました。私たちはプログラムを見ながら、「生徒が3年生に昇級するためには、この目標を達成しなければならない。本校の既存のプログラムで生徒に目標を達成させることはできるか?」と自問自答していました。そして、私たちがたどり着いた答えは「NO」だったのです。  私たちは6ヶ月間ほどで、A-2レベルの生徒たちをB-1プラスと同等の英語力である英検準一級にまで上達させる2年分の60クラスを構成し直すことになりました。これは非常に大きな伸びを必要とします。 必要事項の分析 英検準一級で求められる言語能力には次が含まれます:
  • 一般的な学術スキル
  • 文脈に沿って説明できるスキル
  • 意見を述べ、討論するスキル
(出典: Oberg, 2009) しかしながら、私たちは特定の試験や試験対策に焦点をあてたカリキュラムの作成は希望していませんでした。そこで、試験に合格するために必要となる技能を詳しく分析してみたところ、非常に有用な技能が多く含まれていることが分かりました。それらの技能に、プレゼンテーションスキルなど本校独自の技能要件を加えました。どれも生徒たちが社会に出たときに有用な技能です。そして、大学が求める試験要件も満たすことができます。さらに、私たちは生徒たちが環境、性別、移民など、世界規模のトピックスについて話すことができることを強く望んでいました。これが、私たちのスタートポイントです。 技能の一致と学習指標(CAN-DOリスト) 必要な技能を定義したら、次に必要なのはカリキュラムの作成です。幸運なことに、私たちはGSE CAN-DOリストの評価に携わった経験があり、特定のディスクリプタがどの難易度やレベルに属するか理解していました。私たちは、GSEを使用したカリキュラム作成のケーススタディにも目を通しました。そうすることで、私たちが生徒に学んでもらいたい技能とCAN-DOリストのディスクリプタを一致させることができると分かりました。私たちの生徒の語学レベルと目標は、A2からB1+のディスクリプタと一致していました。 Can-Doリストとは通常、下記のような内容です:
  • Can tell a story or describe something in a simple list of points.
  • Can get information from a tourist office of a straight-forward non-specialized nature
  • Can initiate, maintain and close simple, restricted face-to-face discussions
  • Can give simple instructions to complete a basic task, given a model
  • Can leave simple phone messages using fixed expressions
ディスクリプタには膨大な種類があり、すべてを学習することは不可能です。ですので、教師の感性、知識、経験を用いてカリキュラムや生徒に合わせた適切なディスクリプタを選択する必要があります。GSEのCAN-DOリストはこちらからダウンロードできます。 選択し、組み合わせる – だけではなく、GSEを適用するためのこのプロセスが教師の力となり、GSEの有用性や柔軟性を身をもって理解させてくれるのです。 以下は本校の総合英語プログラムで採用されているCAN-DOリストの一例をご覧いただけます。 Map of IE Language Learning Objectives

Key General Academic (Functional Language) Skills

  1. Can show understanding using a limited range of fixed expressions (1AU1)
  2. Can give compliments using fixed expressions (1BU9)
  3. Can ask for clarification about key words not understood, using fixed expressions (1AU1) (1AU2)
  4. Can paraphrase a simple factual statement related to a familiar topic (1AU2)
  5. Can use basic discourse markers to structure a short presentation (1BU8)
  6. Can explain key information in graphs and charts, using simple language (1AU4) (1AU2) (1BU6)
  7. Can answer basic questions about information presented in graphs and charts (1AU4) (1AU2) (1BU6)
  8. Can discuss illustrations in an academic text, using simple language (1BU9)
  9. Can give a simple presentation on an academic topic in their field (1BU8)
  10. Can ask for more information by interrupting politely during or after a simple lecture or presentation aimed at a general audience, using basic follow-up questions (1AU3) (1BU8)
  11. Can ask questions about the content of a presentation or lecture aimed at a general audience, using simple language (1BU8)

Additional Important General Academic (Functional Language) Skills

  1. Can explain meaning of a word or phrase using simple language (1AU2)
  2. Can answer questions about the content of a presentation or lecture (1AU4)
  3. Can give an effective presentation about a familiar topic (1AU4)
  4. Can summarize information from a simple academic text (16U9)

Key Narrative and Descriptive Skills

  1. Can tell a story or describe something in a simple list of points (1BU8)
  2. Can make a short rehearsed announcement on a familiar topic (1BU10)
  3. Can give a short basic description of events and activities (1AU3)
  4. Can narrate a story (1BU10) (1AU3)
  5. Can give detailed accounts of experiences, describing feelings and reactions (1AU1)
  6. Can reasonably fluently relate a straightforward narrative or description as a linear sequence of points (1AU3) (1610) (1AU3)

Additional Important Narrative and Descriptive Skills

  1. Can give a short talk about a familiar topic, with visual support (1BU8)
  2. Can describe dreams, hopes and ambitions (1BU10) (1AU3)
  3. Can discuss the main points of news stories about familiar topics (1AU3)
  4. Can give a short, rehearsed talk or presentation on a familiar topic (1BU9)
  5. Can re-tell a familiar story using their own words (1AU1)

Key Opinion Stating and Discussion Skills

  1. Can give simple opinions using basic fixed expressions and simple language when asked directly (1AU1)
  2. Can initiate, maintain and close simple, restricted face-to-face conversations (1BU6)
  3. Can show interest in conversation using fixed expressions (1AU1/U2) (1AU5)
  4. Can use some basic interjections to express understanding, surprise, disappointment, and excitement
  5. Can convey simple information of immediate relevance and emphasize the main point (1AU4)
  6. Can express belief, opinion, agreement and disagreement politely and can express support or
  7. Can initiate, maintain and close simple face-to-face conversations on a familiar topic (1BU6)
  8. Can give or seek personal views and opinions in discussing topics of interest (1BU7) (1AU2) (1AU4)
  9. Can invite others to give their views on what to do next (113U6) Additional Learning Objectives (Advanced Level Only)
  10. Can ask and answer basic questions in simple academic discussions (1AU1)
  11. Can contribute to a group discussion if the discussion is conducted slowly and clearly (1AU3)
  12. Can ask someone to clarify or elaborate what they have just said and can give clarification (1AU3)
  13. Can give simple reasons to justify a viewpoint on a familiar topic (1BU8) (1AU1) (1AU2)

Additional Opinion Stating Discussion Skills

  1. Can respond in a simple way to a verbal challenge (18U9)
  2. Can express opinions and react to practical suggestions of where to go, what to do (1AU2)
  3. Can signal that they wish to bring a conversation to an end (1BU9) (1BU6)
  4. Can ask someone to paraphrase a specific point or idea (1AU2) (1AU4)
  5. Can explain the main points in an idea or problem with reasonable precision (1AU4)
  6. Can express their thoughts in some detail on cultural topics (e.g. music, films) (1AU3)
  7. Can ask a question in a different way if misunderstood (1AU1) disagreement in a way that shows they were actively listening to the other person (1AU2/1BU7) (1BU9)
  8. Can report the opinions of others (1AU4)

Additional Learning Objectives (Advanced Level Only)

  1. Can ask others for reasons and explanations (1AU3)
  2. Can ask a personal or sensitive questions politely (1AU3)
  3. Can use indirect questions in a polite manner (1AU5) (1AU2)
プログラムのコンテンツ部分(環境、性別、移民など)には、WigginsとMcTigheによって開発された「Understanding by Design」の原理に基づいた真正のL1教材を使用しました。 技能、ディスクリプタ、そして教科書 技能を定義し、本校のディスクリプタと一致させた後は、本校で使用している教科書への影響を考える必要がありました。しかし、教科書の選択は最後に行うことがとても重要です。使用されている教科書が必要な技能やディスクリプタを網羅していれば良いのですが、網羅していない場合は間違った教科書を使用していることになるので、他の教科書に変更しなければなりません。ピアソンにはGSEレベルとCAN-DOリストのガイドとなる教科書が用意されています。 評価 GSEの学習目的がない古いシラバスを使用していた頃、本校の生徒は自分たちがどのように評価されるのかを非常に知りたがっており、生徒から多くの苦情も受けました。生徒たちは自分のスコアは分かるのですが、なぜそのようなスコアを取ったのかを理解することができませんでした。スコアと生徒のできること、できないことが明確に一致していなかったのです。 現在では、評価をする際にどのパフォーマンスに対して、どのような評価基準が適用され、どのような実施結果が求められているのかを明確に説明できるようになりました。 一例を紹介します: 2年生のクラスで、絶滅危惧種についてのディスカッションを行っていました。生徒たちはグループに分かれて絶滅危惧種の動物について調査し、その動物を保護しなければならない理由を考えます。それから、生徒たちは他のグループの生徒たちと一緒に調査した内容について討論します。生徒はディスカッションスキル、調査の質、議論の首尾一貫性を評価されます。  これらの評価はCAN-DO評価で明示されている生徒のパフォーマンスに基づいて行うことができるため、生徒は何に対するスコアなのか明確に理解することができ、生徒の苦手な分野と得意な分野を知ることができます。 以下は本校で採用している評価をご覧いただけます。
How you will be graded: (1 point for each criteria; Total = 10 points)
Criteria Outcome Assessment
Materials Fill out the worksheet List of pros and cons with reasons/examples
CAN-DO… Can give simple reasons The first reason is… Another reason is…
Can show interest I see / Really? / That’s interesting. / Wow!
Can show agreement and disagreement I agree / I disagree / That’s right / That’s true / I don’t / I see your point, but…
Talking about endangered animals Can suggest pros and cons for saving or not saving an endangered animal I agree / I disagree / That’s right / That’s true / I don’t / I see your point, but…
Can use specialized vocabulary from topic Vocabulary
Fluency/Accuracy Can talk in fluent English
Can talk with reasonable accuracy
結論 本校において、CAN-DOリストと紐付いているは次の場合において非常に有用なリソースとなりました: 
  1. 生徒に習得してもらいたスキルに基づいた英語学習カリキュラムの作成
  2. カリキュラムと関連性のある教科書探し
  3. 生徒にとって関連性があり、理解しやすい評価の提供 
そして、教師の仕事が格段に早く終わるようになりました!

Related Links

FacebookTwitter

テストが我々のカリキュラムにもたらした効果とは

本記事は2018年7月28日に東京で開催され『CAN-DOと4技能評価の英語教育について考える』セミナーにおけるMatt Saunders先生のプレゼンテーションを書き起こしたものです。

本校の現状 立命館アジア太平洋大学(APU)では、約6,000人の生徒が学んでおり、その内の半数が日本人生徒、それ以外は留学生であり、約89ヵ国からの留学生が学んでいます。様々な生徒たちが非常に興味深く混ざり合っています。APUでは、講義の基本言語として日本語または英語を選択することができます。日本語を基本言語に選択した生徒は一定の英語レベルを達成する必要があり、英語を基本言語に選択した生徒は一定の日本語レベルを達成しなければなりません。そのため、本校では非常に大規模な言語プログラムが提供されています。 英語プログラムには上級課程と標準課程の2種類があります。C1を目標として非常に高いB2レベル程度から開始される上級課程に入れる生徒は多くありません。標準課程は生徒のレベルに応じて0から開始され、B1以上を目標としています。標準課程には常時約1,200人の生徒が在籍しており、初級、準中級、中級、上級の4レベルに分かれています。 本校が抱える問題 大学ではすべての課程において、生徒に点数を付ける必要があります。本校の評価は「校内」で作成されていますが、外部の評価を利用して本校の生徒の学力と進捗状況を客観的に評価する方法も合わせて必要です。実際に求められているのは、実施が簡単で費用が高過ぎず、有効性と信頼性のある評価方法です。もちろん、APUは大学のパンフレットに生徒が信頼性のある試験で良い点数を出せるようになることを記載したいとも考えていました。そのために、本校ができることは何でしょうか? 試験と棒高跳び選手についての考察 本校における問題の解決策を紹介する前に、少し本題を離れて試験の一般的な重要性についてお話しましょう。私は、概して試験とは私たちの生活の普遍的な機能となっている点で非常に重要なのではないかと思っています。私たちは常に人々や物事を評価しています。視力検査、血液検査、運転試験など、様々な試験があります。試験とは新しい現象ではなく、社会規範の発祥と同様の長い歴史を持ち、勇敢さを試すための試験や成人するための試験などに遡ることができます。 そして、私たちは誰でも試験の作成者でもあります。私たちは常に人々を評価しています。 私たちはあらゆる種類の交流を通して人々を評価しています。例えば、ただの会話の中でも、あなたは話し相手が会話のトピックにどの位精通しているか評価しているかもしれませんし、相手の英語能力や日本語で会話が可能か、などの小さな事柄まで評価しているかもしれません。このように、あなたは始終物事を評価しているのです。読書をしている時も本の内容について同意できるか、同意できないか批判的思考を巡らせているでしょうし、これ以上時間をかけて読み続ける価値がある本なのかと考えながら読み進めているでしょう。 ですが、私が試験について考える上で一番重要だと思うことは、試験とは推測を可能にするためのものだということです。私たちは現実の世界において人がどのように行動するかを推測するために試験を行います。ですから、私たちは例えば、英会話能力試験などを行って、次のような推測をするのです: 実際の状況において受験者が試験結果と同等の言語スキルを使用したとしたら、受験者はいかに会話を成功させることができるか?私たちが求めているのは、受験者が現実世界でスキルを実践した場合に発揮される能力を私たちが(そして受験者自身も)理解するのを助けてくれる試験なのです。 現実世界でのパフォーマンスを考慮に入れることは重要です。棒高跳びの選手に対する試験を想像してみてください。良い棒高跳びの選手になるには、棒を持って非常に速く走らなければなりません。でも、走るスピードだけに注目したらどうなると思いますか?とても速く走ることができる選手がたくさんいて、その中から最も足の速い二人を選び、彼らが最高の棒高跳びの選手になるはずだと予想したとします––でも、彼らがバーを飛び越えることができるのかは誰も確認していません。確認したのは走る速さだけです。その場合、私たちはこの2人の素晴らしいアスリートを選び、「この2人が世界最高の棒高跳びの選手ですよ。世界で最も足の速い2人です。」とオリンピック委員会に推薦することになってしまうでしょう。でも、残念なことに、この2人の選手がバーを飛び越えることができるのかは実際に誰も確認していません。この場合、競技の技量を正しく推測をするために必要な確認方法を持ち合わせていなかったことになります。つまり、限られた種類のスキルだけを試験して生徒の全体的な能力として報告してしまえば、それは、まるで棒高跳びの選手の全力疾走のスピードにだけ目を向けて、選手がバーを飛び越えることができるのかを理解しようとするようなものなのです。 ここで、2つ目の重要な問題が見えてきます: もし選手が走るスピードだけを試験されると知っていたとしたら、選手はバランスと体幹の強化や棒の練習をやめてしまうかもしれません。コーチも選手が選抜されるために必要なのは速く走れるようにすることだけだと知っています。それでは、棒高跳びを英語に置き換えてみましょう。もし生徒が読解と文法だけ試験されていれば、生徒は他の分野を一生懸命勉強しなくなります。教師も不本意であったとしても、生徒が試験で良い点数をとれるように試験の対象となるスキルにのみ集中して指導するようになり、試験の対象範囲が一つの分野に限定されているのならば、その分野の中で良い成績を出せるよう生徒を促すようになるでしょう。しかし、全体像を見るのであれば、リスニングと読解の試験だけでなく、それ以外のスキルも試験すべきです。 問題解決 ついに、本題に戻りましょう。本校が採用した試験とは?APUにとってはGlobal Scale of Englishの導入、そして「Placement Speaking」「Progress」 が素晴らしい解決策となりました。「Progress」テストはコンピューターベースの試験です。この試験では4つのスキルに加え、文法と語彙が評価されます。本校では、リスニング、文法、語彙、読解のみを評価する他の試験を使用していましたが、約2時間半もかかる上に、生徒のスキルの完全な全体像を把握することができずにいたため、本校が知りたかったすべてのスキルを試験することができる「Progress」に切り替えました。受験料も安くなりました。より徹底した評価を得ることができ、受験時間も大幅に短縮されました。 もう一つの大きな違いは、以前の試験では受験対策のために分厚いテキストを使ってリスニングや文法の練習をするために、ライティングや英会話を練習するための時間が奪われていました。「Progress」はより多くのスキルを網羅しているため、それらのスキルにも時間をかけて勉強することができ、大学のアドミニストレーターも生徒のスコア上昇に満足することができます。ライティングと英会話に時間をかけながらも、生徒のすべてのスコアが大幅に向上するので、非常に良い結果が出ています。 生徒の反応 「Progress」テストを採用することで、生徒が目覚めて、積極的に取り組むようになりました。これは、問題が非常に多岐に渡っており、数多くのスキルが試験されているからだと私は考えています。生徒全員が顔を上げてテストのために勉強しているのを見るのは本当に新鮮で素晴らしいことです!生徒自身もテストに価値を見出しています: 私は生徒に「Progressを受験するために何をすべきか?どうすれば良い結果を出せるか?」を後輩にアドバイスするための手紙を書いてもらいました。私が想像していた以上に生徒たちはたくさんのアドバイスを書いてくれました。その中でほぼ全員の生徒が書いていたアドバイスを一つ紹介するとすれば、「一生懸命勉強すること」でしょう。 本校では生徒たちに「一生懸命勉強しなさい!」といつも言っています。しかし、生徒同士がそれを言い合うことはあまりありません。ですから、この変化はテストによって生徒の受験へのモチベーションが向上したことを示唆しており、一生懸命勉強すれば必ず身になると生徒に感じさせることができるテストであると考えているのです。だからこそ、私はモチベーションの真の向上が「Progress」の素晴らしい点だと思うのです。 結論 APUではスコアが上昇しています。「Progress」は間隔を置かず、頻繁に受験しても結果に大きな変化が見られないタイプの試験です。しかし、1学期、2学期と続けることでスコアが大きく向上するのを見てきました。あなたもその変化を必ず見ることができるはずです。

著者について

Matt Saunders先生は日本の立命館アジア太平洋大学で特任講師を務めています。カナダ出身で、2000年から日本で英語を指導しています。2012年にメルボルン大学で応用言語学(TESOL)修士号を取得した後、エクステンシブリスニングや言語力評価試験に強い関心を持ち、英語教授法が抱える問題に取り組んでいます。

関連リンク

FacebookTwitter

Case Study for English 4 skills CBT

*以下は 2018年6月15日、沖縄県にある興南学園の英語科:宮城 歩先生にインタビューした際の記録です。先生のご協力に、この場をお借りして御礼申し上げます。

Q:
興南学園様の取り組み、方針を教えていただけますか?
A:
学園としての理念は大きく分けて 2 つあります。まず一つ目は、校名の通り「南を興す」人材を育成することです。沖縄県から日本、世界と、生徒たちが活躍の場を広げられるようにサポートしています。二つ目は、急速な科学文明の発達・変化と複雑多岐を極める世界情勢に対応できる人材を育成することです。
【学校法人興南学園 興南中学校・高等学校】
【学校法人興南学園 興南中学校・高等学校】
具体的な取り組みとしては、平成 25 年からの iPad 導入や学内の Wi-fi 環境の整備、平成 29 年から Chromebook の導入など、新しいことを積極的に取り入れるようにしています。これも、最新の技術を活用し、多方面にアンテナを張ることで、急速な社会の変化に対応していけるようにと考えてのことです。また授業の場面でも、1 対 40 の集団授業だけではできないことが、タブレットなどのデバイスを用意することでかなり幅広い活動ができるようになってきています。 特にこれから大学入試改革や指導要領の改訂など、教育の大きな転換期を迎えます。英語 4 技能の指導実践に関しては、個々に対応したスピーキングの技能を含むアセスメントを行えるという点で、Pearson 社が提供する Progress*を平成 29年度より高校 1 年生対象に一部のコースで導入しました。
Q:
Progress を導入いただいてからの感想をお聞かせください。
A:
最初に Progress を見たとき、かなり細かいスコアのレンジがあるところが良いと思いました。クラス内には様々な学力レベルの生徒がいます。個々のレベルに合わせランダムに変化する出題形式は、どの生徒にとってもチャレンジができる点で評価できます。レベルや出題内容の決まった模試などと違い、生徒に充実感を持ってもらえるのが良いですね。 初回試験実施後のアンケートを見ても、「楽しかった、なんかすごいものが来た」「新しい時代の試験を受けている感じがした」など肯定的な意見が多かったです。もちろん 約 1 時間 PC に向かって受けることにも慣れておらず、疲れてしまう生徒もいたので、長時間の画面操作に慣れてもらうための工夫や支援は必要かもしれません。これらの指導は今後の教育改革に向けて、重要な支援になると考えています。 Progress は年3回の受験がセットで、初回は 3 月でした。次は 7 月の実施を予定しています。この調子で、生徒たちに習慣化させていきたいです。
Q:
普段の授業と Progress 受験との関連性についてはいかがですか?
A:
普段英語の授業ではスピーキングを重視した活動も行いますが、中心となるのは従来通りの基礎トレーニングです。 Progress を導入したことで、授業以外でアウトプットの場所を年 3 回設けることができ、生徒たちは「これまでに学んできた英語を様々な場面で実際に活用すること」を実感しやすくなっており、モチベーションの喚起にもつながっています。特にスピーキングセクションの問題では、絵や写真を口頭で描写しなければならず、自分の持っている英語力を全て出しきらないといけないほどの意識の高まりが感じられ、良い刺激になっているのではないでしょうか。
【受験している実際の様子】
【受験している実際の様子】
高校のコミュニケーション英語の教科書では、文化的な題材から科学技術・AI など、扱う内容がどんどん深くなっていきますが、Progress の場合は身近なことについて話すことができる、周りのものを描写できるといった、基礎段階の英語表現力がどの程度身についているのかをまずは確認することができます。成績の表示も 4 技能+文法・語彙の「6 項目」で細かく表示されるので、技能領域と知識領域の習熟バランスも把握できます。さらに CEFR や TOEFL iBT、IELTS 等のスコア換算表が用意されている(GSE という CEFR 準拠の尺度を介して他のテストと比較ができる)ので、英語力の高い生徒には 6 段階に分かれているレベルから最適なものを選び、受験させることで、さらに高い目標に向けて学習のモチベ ーションを向上させるものになるでしょう。生徒たちの英語力を向上させることが英語教師の役目ですが、この Progressで測定した結果というのは、教師の授業内容や展開について、今後の方針を考える上での指標にもなり、授業改善にも大いに役立つものだと思います。

取材協力/編集:教育開発出版株式会社

FacebookTwitter

日本で学習者レベル参照基準が重要なのはなぜか

生徒のクラスやテキストを決める際に使われる「入門」「中級」「上級」という言葉は、私たち誰にとっても馴染み深いものです。ただ、具体的には生徒のどんな能力を表したものなのか、さらに上のレベルの能力を生徒が身につけるためには何を教えればいいのか、といったことまでは分かりません。 文科省による決定で、2020年以降は、大学入試で英語の「書く」「話す」というアウトプット力を測るようになると同時に、小学5年から英語が正式教科になります。目標は高校卒業時に4技能全てにおいてA2+〜B1レベルに達成している生徒の割合を50%以上にすることです。生徒にもっと期待をかけている国もあり、そういった国々に比べれば現実的な目標であります。とはいえ、英語教育を取り巻く現状や、CEFR基準の意味することについての認識不足を考慮すると、日本でも容易なことではありません。 今回は、評価基準やスコア、グローバル・スケール・オブ・イングリッシュ(GSE)と、英検やCEFR-Jといった日本独自の基準とGSEとの対応をテーマに、ピアソンのGSEプロジェクトを主導するJacqueline Martinとの対談を紹介いたします。
Q:
生徒の上達を測るために参照基準が必要なのはなぜですか。
Jacqueline Martin:
あるレベルにいる生徒は何ができるものなのか、その生徒が次のレベルに達する手助けをするためには何を教えればいいのかといったことを、参照基準なしに把握するのは非常に難しいからです。例えば、ある学校で教師たちが捉えている生徒たちのレベル感は、人や場所が変われば異なってくる可能性があります。教科書の著者や教材を作る教師には、どんなタイプの生徒がどのレベルでは何を学ぶ必要があるのかを示した明確で具体的な指針が必要なのです。
Q:
「グローバル」な基準がなぜ重要なのですか。
Jacqueline Martin:
国をまたいだ進学や就職の機会が広がるなか、企業や教育機関は、採用や入学資格審査に使える明確で信頼性の高い基準を求めています。志望者の側も、せっかく多大な努力を注ぐなら、世界に通用するものを取得したいわけです。
Q:
それはつまりCEFRが答えであるということですか?
Jacqueline Martin:
CEFRが成し遂げた功績は素晴らしいことですし、大きな進歩であると言えます。しかし、対象が大人向けの一般英語に限定されていること、そしてヨーロッパの学習事情に基づいて作られた基準であること、特に初心者レベルと最上級レベルに顕著なのですが、技能・レベルごとの学習指標に偏りがあること、レベルを細かく分割して指導に使うのは難しいことなどから、CEFRこそが答えであるとは言いにくいところもあります。CEFR自体、あくまでも言語や環境にそれぞれ合わせて応用するための土台として開発された枠組みなのですから。
Q:
そこでグローバル・スケール・オブ・イングリッシュ(GSE)の出番というわけですね?
Jacqueline Martin:
そうです。CEFRのディスクリプタをさらに具体的に細かく分けて増やしたものがGSEであり、生徒が「何をできるか」という観点でさらに詳しい情報を提供するものです。また、GSEは技能・レベル間でのCEFRディスクリプタの偏りを改善し、児童、学生、社会人など、置かれた状況により要求される能力が異なることも考慮しています。
Q:
英検のようなローカル基準との対応はどうなっているのですか。
Jacqueline Martin:
学習の効果を最大にするためには、生徒自身が学習目標と個人の環境や経験を結びつける必要があります。本人にとって関連があり、意味のあることでなければいけないのです。国によってニーズや文化的な経験は異なりますし、学習経験が学習者の置かれた状況を考慮して調整されていれば習得が容易になります。これを可能にするのがローカル基準です。ローカル基準とグローバル基準を並べて対応させ、重なる部分を確認することで、教師は生徒たちが両方の基準の中で成果を出せるようなプログラムに沿って教えているという確信が持てるのです。
Q:
でも、ローカル基準とグローバルな基準はそもそも対応するのですか?
Jacqueline Martin:
はい。私のチームでの研究から、生徒の知識面・能力面で密接に対応していることが分かっています。つまり、GSEのシラバスに沿った学習は英検対策に必要な学習範囲を大部分カバーしていることになります。同じように、英検に合わせたシラバスに沿うことでも、世界に通じる英語を学習しているという裏付けが得られるのです。
Q:
それは便利ですね。
Jacqueline Martin:
もちろん、うまく対応させられるように工夫する必要はあります。主な学習目標は同等のものを維持しながら、生徒に示す際の文脈や実践練習の場については、その国の生徒たちに合わせて変えるべきです。ここで肝心なのは、主な学習目標が失われないように細心の注意を払い、一貫したガイドラインに従ってローカライズすることです。例えば、O’SullivanとDunleaが作成した表が便利です。元々の設定レベルを失わずに各試験をどこまでローカライズできるかを示したものです。日本では東京外国語大学の投野教授が、CEFRを応用する際に元の意味を失わないような方法や理想形の標準モデルを発表しています。
Q:
日本でGSEをローカル基準と対応させるにあたり、現在の状況を教えてください。
Jacqueline Martin:
ピアソンでは、世界のどこであっても、そして読む・書く・聞く・話すといった4技能に限らず語彙・文法についても、GSEとローカル基準との対応・比較を確実なものにするため、GSEディスクリプタの共有と評価を続けています。また、日本を含め、世界各地で数々の教師・研究者と、GSEに対応した英語教授・アセスメント用タスク作成のベストプラクティスとは何かを日々探っています。教材やアセスメントをローカル基準とCEFR/GSEの両方に対応させる作業も行なっています。

Jaqueline Martinについて

心理学・教育学で学士号、初等教育のPGCE、そしてCELTAを取得。大学卒業後にイギリスの小学校で教え、成人を対象に英語を指導。Primary向けELT出版では、オックスフォード大学出版局・ピアソン合わせて17年のキャリアを持つ。ピアソンには編集者として入社し、PrimaryのPublishing Directorを含む事業戦略関連の役職を務めたのち、2017年1月よりGSEチームに加わり、子ども英語教師向けの基準およびツールの開発の指揮を取る。これまでに日本を含む世界で20以上のマーケットを訪問し、各地に向けたコースブックの研究・制作・刊行に携わっている。

関連サイト

日本向けのGSE学習指標(CAN-DOリスト)について、詳しくはこちらのページをご覧ください: http://www.pearson.co.jp/en/company/gse/ecosystem/#objectives
FacebookTwitter