英語専攻ではない学生にとって英語を本物の(かつ魅力な)言語にするには

私たちのほぼ全員が経験したことがあるのではないでしょうか。そう、英語専攻ではない学生のための必須クラスです。英語を特に必要としない専攻の生徒たち。特に英語が好きなわけではない生徒たち。
私は今回そのような生徒のためのクラスを教科書のFind Someone Whoを使って始めました。生徒は立ち上がって歩き回りながら他の生徒に質問し、「Yes」と答えてくれる生徒を探します。ある生徒のお題は「Find someone who likes English(英語が好きな人を探そう)」でした。29人の生徒中、「Yes」と言ったのは1人だけ。28人は「No」と答えました! なるほど。つまり、生徒たちにとって英語が本物の言語であったことはこれまでに一度もない。アイデアを伝えるためのコミュニケーションツールであったこともない。いつも英語と言えばテスト、しかも苦手なテストだった。さあ、私はどうやって成功に導けばよいのでしょうか? 今回の場合はそんなに難しくありませんでした。生徒たちは初等教育および幼児教育を専攻していました。そこで、私は英語のわらべ歌をクラスで取り上げることにしました。クラスの最初の10分間は、生徒たちが小学校や幼稚園の教諭になったときに活用できる内容を学習しました。クラスの大部分は教科書(English Firsthand Success、私のお気に入りです)を使って行いましたが、ウォームアップで導入した歌、指遊び、大型絵本の読み聞かせが、生徒の英語に対する姿勢を変えました。
Using big books in class
“Karuta” – a famous Japanese game“Twister”Using big books in class
私は英語と生徒たちの興味や生活を結び付けながら指導していました。最初、私のクラスには英語を好きな生徒がたった一人しかいませんでした。その4ヶ月後、小学生に英語のゲームや歌を教える「サマーカレッジ」という休日イベントが大学で開催されたときには、私のクラスから9人の生徒が自主的に参加しました。昨年の2学期目には、クラスの半数以上の生徒が(自由時間を使って)本大学の幼児/児童林間学習センターでの英語クラスの指導にボランティアで参加していました。 私が生徒たちの興味と英語を結び付けただけで、生徒たちの英語に対する姿勢が完全に逆転しました。生徒たちは積極的にクラスに参加していました。そうすることで、生徒にとってクラスがさらに面白さを増していきました。私の指導する楽しみもぐっと増しました。 この方法が私のクラスの初等教育/幼児教育専攻の生徒に有効だとしたら、他の生徒ではどうでしょうか? 私は英語専攻ではない学生のためのウォームアップとタスクというウェブページを作成しました。今のところ、このサイトには、ただ英語を学習するだけでは英語に興味を持たないであろう生徒に対して使用できる、生徒と関連性のある約40個のウェブサイトへのリンクやその他のリソースが紹介されています。現時点で含まれている専攻は:
  • 一般英語
  • 経営
  • 初等教育/幼児教育
  • 食物および栄養
  • 日本文学/文化
  • 国際文化研究
  • 心理学
  • 体育
  • 物理科学
上記に加えて、その他の専攻の生徒を指導する教員のためにいくつかのアイデアを紹介しています。 どうぞお気軽にサイトをご覧いただき、生徒の指導にお役立てください。 その他の専攻/リンクのご提案がありましたら、ぜひお聞かせください(私の連絡先情報もサイトに記載されています)。 このサイトがあなたと生徒を結び付け、生徒と英語を結び付ける助けとなることを願っています。

Marc Helgesen先生について

Marc Helgesen氏はピアソンの人気のEnglish Firsthand シリーズを含む、180を超える記事、本、教科書の著者であり、仙台市にある宮城学院女子大学の教授でもあります。同氏は5大陸で学会にスピーカーとして招待された経験があります。同氏の研究分野にはELTにおけるポジティブ心理学、ELTにおける脳科学、多読などが含まれます。

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多読だけに終わらない、グレイデッド・リーダーズの様々な使い道

「グレイデッド・リーダーズといえば多読」―と思う方が多いと思います。 確かに多読は、英語学習者の強い味方であるグレイデッド・リーダーズの主要な使い道の一つですが、実は他にも本当にたくさんの活用方法があるのです。

多読とは?

多読は、非英語圏で暮らす学習者が総合的な英語力を向上するためにはこれ以上のものはないと言っていいほど、素晴らしい学習法です。「多(く)読(む)」という名称からは意外に感じるかもしれませんが、多読とは単にリーディング力を伸ばす方法のみに留まりません。英文をたくさん読む生徒はリスニング力が大きく伸びることもあるなど、全技能において、ある程度の上達が起こることがわかっています。

多読をすると生徒の語彙に対する理解が進むことは確かですが、多読の強みは新しい語彙が得られることよりも、もともと知っている語彙が使われる文脈にたくさん触れられることにあります。このようにして同じ単語を様々な文脈で繰り返し目にすることで、その単語が実際にどのように文の中で使われるのかという「語感」を育むことができるのです。

文法についても同じことが言えます。難しい構文を学ぶよりも、多読ではどのように基本の文法が使われているか、また使われていないか、について知識を深めることができます。

グレイデッド・リーダーズの使い道

グレイデッド・リーダーズの使い道は色々です。もちろん、一番よくあるやり方は各自が単独で読むことです。他の生徒にとっては興味がないかもしれないけれど自分は読みたい、という本を選ぶことができます。こういう形での読書は、教師の監督が必要なく、また、通常の授業時間内で割ける時間よりもずっと時間がかかるため、普通は授業の外で行われます。

クラス用セット

「クラス用セット」といえば主に、クラスの全員が同じ物語を読めるように、同じ本を何冊も揃えていることを指します。生徒全員に同じ本を同時に読ませることには、それはそれで様々な利点があります。家に持ち帰って量を読ませることもできますし、授業中であれば予め準備しておいたアクティビティに沿って、文中に登場する文法事項や語彙の用例を解説する精読を行ったり、物語の文学的な面を紐解いたりもできます。ピアソンの新刊のMarvelリーダーなどに用意されているアクティビティを利用してもいいでしょう。さらに、読了後用アクティビティを生徒自身に選ばせ、クラス全体に向けて発表してもらうこともできます。

Pearson English Readersでの「EasyStarts」など、同じ難易度の本を揃えて「クラス用セット」を作るのも良いでしょう。この場合は、一人一人が違う本を選んで授業時間内に読み切る、という使い方ができます。

読書サークル

クラスを4〜6人の少人数グループに分けて、課題図書を与える、または自分たちで選ばせます。その中で「リーダー」「語彙マスター」「登場人物マスター」「設問作成担当」「報告担当」「イラストへのコメント担当」などの役割分担をし、各自単独で準備をします。次の授業では調べてきたことをグループで話し合います。続いて、各グループの報告担当者がクラス全体に向けて短いプレゼンを行います。

「メリーゴーランド」式プレゼンテーション

私の授業で大変盛り上がったことがあるのが、「メリーゴーランド」式で生徒に好きな本について短いプレゼンをしてもらうアクティビティです。まず、生徒を4〜5人のグループに分け、各グループで1名が自分の本の主なあらすじ、好きな登場人物、その本を読んで新たに学んだことは何かをグループ内で発表します。3分ほど経ったら各プレゼンターは一斉に1つ隣のグループにずれる形で移動し、同じスピーチを繰り返します。こうして、読んだ内容を基にしてスピーキングを練習する機会を増やすことができます。終わったらプレゼンターは元いたグループに戻り、2人目と交代してもいいでしょう。もしくはそのまま3つ目・4つ目のグループに移動してプレゼンを続けてもいいでしょう。ただし、全員が同じようにプレゼンをして回れるような時間配分は必要です。生徒たちに「面白かったか」「よく準備されていたか」「手元を見ずに話していたか」などの項目を記載した評価シートに記入させ、授業の終わりに提出させてもいいでしょう。生徒全員がスマホを持っているのであれば、教師側で決めておいた評価項目に沿って一人ひとりが他の生徒のプレゼンに点数をつけたりコメントを書いたりすることができるアプリ「peereval.mobi」が使えるかもしれません。

生徒の読書状況を把握する

読んだ本の冊数やページ数、単語数など、生徒の進捗を表にして記録することで、自分自身に挑戦を課す形でも、クラスメイトと競う形でも、より多くを達成するように促すことができます。壁に表を貼るといったシンプルな方法から、https://tinyurl.com/er-recordsheetからGoogleのスプレッドシートをダウンロードして、生徒が自分で記入できる、専用のオンラインの進捗追跡システムを作成する方法もあります。

究極のツールとも言えるのがMReaderです。読んだ本に関する簡単なクイズに答えることで、自分のページにその本の表紙を追加し、これまでに読んだ本のコレクションを作成できる無料リソースです。詳しくは上記ウェブサイトで直接ご覧いただけます。

多読についてもっと知りたい方へ

Extensive Reading Foundationのウェブサイトは、グレイデッド・リーダーや多読の実践方法に加え、様々なトピックについての情報満載のリーディング専門ポータルサイトです。

トーマス・ロブ氏について

JALTで2代目会長を務めた後、1990年まで事務局長を務め、様々な学会で活動。主にテクノロジーを利用した言語学習に関心を持っており、この記事に登場したMReaderとPeerevalを設計。2017年には「Milneイノベーション・アワード」を受賞。京都産業大学外国語学部教授職を退いた今は、国際多読教育学会での理事長職と、TEST-EJ(英語指導者向けのウェブ・ジャーナル)の編集者を兼任している。

関連リンク

Marvel’s Reader Series
Marvel Readers Campaign
Pearson Readers Catalog
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Nurturing 21st Century Skills – 21世紀スキルの教え方


「21世紀の学習者が将来成功していくためには特定のスキルが必要不可欠である」̶– この考え方は別段新しいものではありません。甲南女子大学で児童英語教育を教えるアン・マエダ准教授によると、事実、子どもたちは教室に来る時点で、すでに熱意に溢れています。しかし子どもが本能的に求めている「協働」「コミュニケーション」「批判的思考」「独創性」を、教材の内容を「教え込もう」と焦るばかりに、時として教師が殺してしまうことがあります。今回、アン准教授から若年学習者との関わり方についての見解をいくつか共有していただきました。 21世紀スキルを見極め、育てるには 21世紀に入って労働の形態は劇的に変化しました。社会人を取り囲む環境は様変わりし、企業が従業員に求めているものも以前とは同じでは ありません。これは日本だけでなく、世界中で起きている現実です。ピアソンをはじめ、教育事業が21世紀スキルを教材の中心に据えてきたのにはもっともな理由があります。21世紀の社会で成功を収めるための基盤は、学校の内外で起こる学びが築くものなのです。 アクティブ・ラーニングとは? 21世紀スキルの4つの柱、「協働」「コミュニケーション」「批判的思考」「独創性」のすべてに共通するのが、生徒の参加です。コミュニケーションであれ、協働作業であれ、批判的思考であれ、独創性であれ、4つ全部が混じっている場合であれ、そこでは必ず生徒が「アクティブ」つまり能動的に参加しているのです。 「アクティブ・ラーニング」と言えば、デジタルツールが必要だと思われがちですが、それは誤りです。「アクティブ・ラーニング」が教え方として注目を集め始めた時、デジタル媒体を利用して実施されることが多かったため、このような誤解が生まれたのでしょう。 これもまた誤解が多いのですが、「アクティブ・ラーニング」は「体を動かすこと」でもありません。また、アクティブ・ラーニングを実施しているクラスではペア・グループ学習が多いとはいえ、それだけに限りません。ここでの「アクティブ(能動的)」とは、学習者の役目が受動的ではないと言う意味に過ぎないのです。自分一人で考えていたり、提示された文に対する答えを作り出したり、別の生徒と2人で問題解決をしたり、グループの中で情報を評価し順番に並べたりなど、参加の形は様々です。どの場合も、教師が作ったきっかけに生徒が何らかの形で参加しているわけですが、必ずしも目に見える形で表れていないだけなのです。 とはいえ、1名~少数の、多くの場合外向的な生徒の独壇場になっている授業も未だによく見られます。教師がそれ以外の生徒たちの発言も促し、取り残される生徒がいないよう心がけることが非常に重要です。そのためには、生徒の配置を工夫したり、再配置したり、他にも場の空気を変える方法を取ったり、一人一人がどれだけ意欲的に取り組んでいるか、逆に上の空になっていないか、絶えず目を配ったりする必要性が出てきます。 子どもは準備万端でやって来る 子どもたちは準備万端でやって来ます。子どもとは本来、協働し、コミュニケーションをとり、考え、創造したがるものです。これを抑制するのではなく発展させるのには、ちょっとしたコツがあります。1つが、子どもが自分で答えを見つけるように促すことです。 しかし未だに、授業では新出事項を手取り足取り教えてあげてしまう傾向が根強くあります。例えば、子どもの思考にスイッチが入っていない状態で新出語彙を教えてしまうと、単語をただ聞こえたまま繰り返すオウムと同じことになってしまいます。音を声として出してはいるものの、それは教師が材料を与えているからに過ぎません。教師が情報をすべて与え、それを生徒が再現することで応えているだけなのです。 生徒が知りたがっているからというだけで答えを与えてはいけません。「教える」前に「問いかける」など、いつものやり方を少し変えるだけでいいのです。それだけで指導プロセス、そして学習プロセスにどれだけ大きな違いが生まれるか、驚かされることでしょう。 ドリルを崩す 本物のコミュニケーションは、生徒たちが自分の使っている言葉を理解してこそ実現します。ここでの「言葉」とはフラッシュカードを見せるなどして教師が台本を提供し、声に出して読んでみせたのを生徒が繰り返す、というようなやり方で教える側が満足してしまっているような教室で飛び交う「言葉」とはは大きく異なります。 もちろん、本物のコミュニケーションはもっとずっとダイナミックです。英語に限らず、どんな言語を学んでいても、コミュニケーションというものは言われたことをオウム返しにすることであると信じ込まされてきた生徒は、実世界でコミュニケーションをとる機会が訪れた際にびっくりしてしまうことでしょう。 本物のスピーキングを促すために教師ができること フラッシュカードが8枚あって、生徒たちはそのうち6~7の単語を既に知っている、としましょう。そういった状況で、予め意味を教えずに2~3語を新しく追加してみると面白いかもしれません。新しい単語が出てきた時、あえて「これは何?」と問いかけてみましょう。 「わかりません」という返事が返ってくるかもしれませんが、すぐに答えを与えてはいけません。あえて、そこは飛ばして授業を続けましょう。すると、しばらくして「これは何?」と言う子が出てきます。それが、答えを見つける唯一の方法だからです。まもなく生徒は、注意を傾けて新しい単語を憶えようとするだけでなく、助けを求める方法もあるのだと理解するでしょう。教師は、そういう現象が起こるまで根気良く待たなければなりません。進んで自ら答えを探す力は、英語の授業よりもずっと大きな世界で活かせる「生きるためのスキル」なのです。

アン マエダ氏のご紹介

甲南女子大学准教授。20年以上にわたって児童教育に従事してきている。甲南女子大学では児童英語教員養成プログラムで講師兼プログラムコーディネーターを、大阪府と奈良県では数々の公立小学校で教師育成を行い、相談役も務める。ピアソンのDiscovery Islandシリーズ顧問委員会の一員でもある。児童や青少年を主な対象に、学習者の自律、動機付け、発達に深く関心を持ち、現在進行中の研究ではネパールを訪れ、現地の教師・学校と協力し、多読プログラムを実施している。

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Materials to support 21st century skills development

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