Nurturing 21st Century Skills – 21世紀スキルの教え方


「21世紀の学習者が将来成功していくためには特定のスキルが必要不可欠である」̶-- この考え方は別段新しいものではありません。甲南女子大学で児童英語教育を教えるアン・マエダ准教授によると、事実、子どもたちは教室に来る時点で、すでに熱意に溢れています。しかし子どもが本能的に求めている「協働」「コミュニケーション」「批判的思考」「独創性」を、教材の内容を「教え込もう」と焦るばかりに、時として教師が殺してしまうことがあります。今回、アン准教授から若年学習者との関わり方についての見解をいくつか共有していただきました。

21世紀スキルを見極め、育てるには
21世紀に入って労働の形態は劇的に変化しました。社会人を取り囲む環境は様変わりし、企業が従業員に求めているものも以前とは同じでは ありません。これは日本だけでなく、世界中で起きている現実です。ピアソンをはじめ、教育事業が21世紀スキルを教材の中心に据えてきたのにはもっともな理由があります。21世紀の社会で成功を収めるための基盤は、学校の内外で起こる学びが築くものなのです。

アクティブ・ラーニングとは?
21世紀スキルの4つの柱、「協働」「コミュニケーション」「批判的思考」「独創性」のすべてに共通するのが、生徒の参加です。コミュニケーションであれ、協働作業であれ、批判的思考であれ、独創性であれ、4つ全部が混じっている場合であれ、そこでは必ず生徒が「アクティブ」つまり能動的に参加しているのです。

「アクティブ・ラーニング」と言えば、デジタルツールが必要だと思われがちですが、それは誤りです。「アクティブ・ラーニング」が教え方として注目を集め始めた時、デジタル媒体を利用して実施されることが多かったため、このような誤解が生まれたのでしょう。

これもまた誤解が多いのですが、「アクティブ・ラーニング」は「体を動かすこと」でもありません。また、アクティブ・ラーニングを実施しているクラスではペア・グループ学習が多いとはいえ、それだけに限りません。ここでの「アクティブ(能動的)」とは、学習者の役目が受動的ではないと言う意味に過ぎないのです。自分一人で考えていたり、提示された文に対する答えを作り出したり、別の生徒と2人で問題解決をしたり、グループの中で情報を評価し順番に並べたりなど、参加の形は様々です。どの場合も、教師が作ったきっかけに生徒が何らかの形で参加しているわけですが、必ずしも目に見える形で表れていないだけなのです。

とはいえ、1名~少数の、多くの場合外向的な生徒の独壇場になっている授業も未だによく見られます。教師がそれ以外の生徒たちの発言も促し、取り残される生徒がいないよう心がけることが非常に重要です。そのためには、生徒の配置を工夫したり、再配置したり、他にも場の空気を変える方法を取ったり、一人一人がどれだけ意欲的に取り組んでいるか、逆に上の空になっていないか、絶えず目を配ったりする必要性が出てきます。

子どもは準備万端でやって来る
子どもたちは準備万端でやって来ます。子どもとは本来、協働し、コミュニケーションをとり、考え、創造したがるものです。これを抑制するのではなく発展させるのには、ちょっとしたコツがあります。1つが、子どもが自分で答えを見つけるように促すことです。

しかし未だに、授業では新出事項を手取り足取り教えてあげてしまう傾向が根強くあります。例えば、子どもの思考にスイッチが入っていない状態で新出語彙を教えてしまうと、単語をただ聞こえたまま繰り返すオウムと同じことになってしまいます。音を声として出してはいるものの、それは教師が材料を与えているからに過ぎません。教師が情報をすべて与え、それを生徒が再現することで応えているだけなのです。

生徒が知りたがっているからというだけで答えを与えてはいけません。「教える」前に「問いかける」など、いつものやり方を少し変えるだけでいいのです。それだけで指導プロセス、そして学習プロセスにどれだけ大きな違いが生まれるか、驚かされることでしょう。

ドリルを崩す
本物のコミュニケーションは、生徒たちが自分の使っている言葉を理解してこそ実現します。ここでの「言葉」とはフラッシュカードを見せるなどして教師が台本を提供し、声に出して読んでみせたのを生徒が繰り返す、というようなやり方で教える側が満足してしまっているような教室で飛び交う「言葉」とはは大きく異なります。

もちろん、本物のコミュニケーションはもっとずっとダイナミックです。英語に限らず、どんな言語を学んでいても、コミュニケーションというものは言われたことをオウム返しにすることであると信じ込まされてきた生徒は、実世界でコミュニケーションをとる機会が訪れた際にびっくりしてしまうことでしょう。

本物のスピーキングを促すために教師ができること
フラッシュカードが8枚あって、生徒たちはそのうち6~7の単語を既に知っている、としましょう。そういった状況で、予め意味を教えずに2~3語を新しく追加してみると面白いかもしれません。新しい単語が出てきた時、あえて「これは何?」と問いかけてみましょう。

「わかりません」という返事が返ってくるかもしれませんが、すぐに答えを与えてはいけません。あえて、そこは飛ばして授業を続けましょう。すると、しばらくして「これは何?」と言う子が出てきます。それが、答えを見つける唯一の方法だからです。まもなく生徒は、注意を傾けて新しい単語を憶えようとするだけでなく、助けを求める方法もあるのだと理解するでしょう。教師は、そういう現象が起こるまで根気良く待たなければなりません。進んで自ら答えを探す力は、英語の授業よりもずっと大きな世界で活かせる「生きるためのスキル」なのです。

アン マエダ氏のご紹介

甲南女子大学准教授。20年以上にわたって児童教育に従事してきている。甲南女子大学では児童英語教員養成プログラムで講師兼プログラムコーディネーターを、大阪府と奈良県では数々の公立小学校で教師育成を行い、相談役も務める。ピアソンのDiscovery Islandシリーズ顧問委員会の一員でもある。児童や青少年を主な対象に、学習者の自律、動機付け、発達に深く関心を持ち、現在進行中の研究ではネパールを訪れ、現地の教師・学校と協力し、多読プログラムを実施している。

関連リンク

Materials to support 21st century skills development

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