映画コンテンツの多読がもたらす効力

Marvelの新刊本を、最近生徒たちは楽しそうに読んでいます。アメコミは日本のMangaとはちがった味わいがあります。映画好きな生徒も、さほどではない人にも、映画のコンテンツを授業に組み込むことは、大きな変化をうみます。高2の学生A.Sさんによると、「映画を観ていると、最初から楽しいとわかっていて読めるので幸せな気分」で英語多読ができるそうです。「さすがに読まないとまずい」と思って義務的に読む宿題とは異なり、ワクワク取り組めるようです。
みなさまは、映画を観るのはお好きですか。迫力、悲しみ、喜びが大きなスクリーンから俳優さんのトーンを通して伝わる映画は、世界的にみても人気の娯楽の一つです。映画は監督さんによっても、作風が異なります。そのコンテンツの本の英語多読を通しての、生徒の成長をふりかえりながら、楽しみ方、クラスでの有効な導入方法を考えていきます。すべてのジャンルの映画に詳しいわけでも、たくさん観ているわけでもない教師である自分でも、映画のコンテンツの本を授業に取り入れながら、映画を観ることと、その本を読むことの相乗効果を狙うために、生徒たちの楽しみたい気持ちを大切にしながら導入しています。

映画から英語を学ぶ

映画は観るだけで楽しいだけでなく、英語の4スキルズが一挙に学べるよい素材が映画です。俳優さんの演技とセリフで心の動きがわかり、シーンごとにお話しの流れを追っていけます。音響効果もすばらしく、作品のイメージをとらえるのには最適です。
 字幕スーパーを追わずに母国語のようにオリジナルの音声で楽しめれば、一番自然な形で映画を観ていることになります。しかし、わからないことがある場合は、知りたい英語表現、理解できなかったジョーク、確認したい話の展開などを、鑑賞後に活字で読むことで、すっきりすることもあります。 「映画は一貫した気持ちで一つの作品を通しで観るが、英語多読では好きなペースで読める」(A.S)のです。

映画を英語の本で読み英語を学ぶ

映画を観る前に本を読む場合は、どういうプロセスをふむのでしょうか。想像力を駆使し、場面ごとにストーリーを想像していく作業にはパワーを使います。文字という二次元の世界から、自分なりに理解して立体の世界へとふくらませていきながら、ストーリーを理解していくからです。本の世界を自分の中で組み立てていくには、登場人物の相関関係をとらえて、ストーリーを場面ごとに的確にとらえていくことが要されます。読んだ作品を映画で観るときには、頭で思い描いていた場面がどのように絵が描かれるかは興味深いものです。
映画を鑑賞後に読む場合には、ある程度読みやすい単語になっているので、サラサラと読める場合もあります。気になった部分、お話の展開をもっと知りたい部分に注目しながら、英語の表現もひろっていくとよいでしょう。映画ファンの中には、「関連したものは、何でも見てみたい」という気持ちがある(A.S)そうです。

クラスで映画のコンテンツを楽しく読んでいく

英語を教える立場からは、映画の本は生徒にすすめやすく、活用の仕方を工夫することで、英語力を伸ばす助けになります。本を使う手順は以下の通りです:

  1. 映画で観たことがあるかをチェック。
  2. イラストや画像も文章と一緒によく見るように話す。
  3. 読む順序が適切かを考慮。

クラスでは、「すでに観た映画の本を読みたい」という生徒がいます。映画の本を読むときは、観たことがあるかないのかをまずチェックします。はじめて作品に触れる場合には、Pearson English ReadersのMarvelを例にとると、Who’s Who?のページを参照し、人物の相関関係をとらえておきます。関係がわかるとぐっと話を読みやすくなります。

映画からの画像の掲載がある場合には、画像の下のキャプションもよく読むように伝えます。画像を見ながら読むことで、映画の世界にも近づくことができ、よりその世界を描きやすくなります。

映画の製作年度により、背景知識が必要な場合もありますので、教える側は確認するとすすめやすくなります。これは時代背景のみならず、どの映画から読むとわかりやすいか、という順序を計画することにも関連してきます。Marvelのリーダーの場合に、「Avengers(レベル2)を最初に読んでキャラを覚えておくと、他のものも読みやすい。パーティーものでCaptain America, Hulk, Thorなどが集結しています。」(A.S)というように、読みやすさも考えながら選んでいきます。「続きがある場合に最初のものしかない読み物もある中、「PearsonEnglish ReadersのMarvel2作目、3作目も含まれる点がさらなる魅力」(A.S)です。

映画のコンテンツを知ることで広がる世界

英語多読を行う際に、楽しく読むには「興味があるトピック」または「関心が持てそうな内容」は読みやすいようです。英語に自信がない場合でも、映画の素材は子供から大人まで楽しめます。Pearson English Kids Readersのディズニー作品はフォニックスを理解できるようになった小学生たちが、絵を見ながら「自分でも読める」とレベル1のタイトルであるDumbo, Bambi, Snow Whiteなどを楽しみに借りていきます。Pocahontas(同レベル6)では、植民地時代のネイティブ・アメリカンについて学べます。単に映画やお話としてとらえるだけでなく、歴史など複合的にとらえていくと知識の幅が増えます。ネイティブ・アメリカンについての考察を提示するかどうかなど、読者の年代に応じて、どこまでヒントを出していくのかを調整していくと、より本が生きてきます。

何といっても会話文が多いのが、映画のコンテンツの本の特色の一つです。会話の中でどのように表現が使われるか、何度か繰り返し出てくると覚えることができます。映画では会話以外の部分は演技を画像を通して理解しますが、本では情景や人の動作などすべてが文章で示されます。描写の仕方にも慣れることができます。

英語多読へのアプローチ

ライブラリーの本を読むときには、豊富な分類の中から読んでいくようにすると長く興味を持ち続けられます。
毎月共通に生徒たちが読む課題本を設けていますが、その時に本の分類を様々な分野に分けて提示しています。映画に関するリーダーの中のカテゴリーの一例をあげます。

  1. ヒーロー
    Thor, Superman, Spiderman など。
  2. ディズニー
    Dumbo, Snow White, Toy Story, Bambi(レベル1)
  3. アドベンチャー 
  4. 著者
    Roald DahlのFantastic Mr. Fox (レベル4)Charlie and the Chocolate Factory(レベル5), George’s Marvellous Medicine(レベル5)
  5. 家族
    Heidi(Pearson English Graded Readers レベル2)、Cinderella Man( Pearson English Readers レベル4)
  6. 環境
  7. Pearson English Readers,Macmillan Readers, Oxford Bookworms, Cambridge English Readers, Scholastic Readersなどの同じタイトルの読み比べ。

その時のニーズに合わせて、プリンセスもの、日本文化など分け方を変えて提示すると、生徒と一緒に選びやすくなります。
「何度でも好きなだけ読めて」「毎日の決まりで一日15分ずつ読む」(A.S.)など自分のペースで映画の本を読むことは、英語に触れる時間を増やすことにもつながります。異なる文化の国の映画の本を読むことで、海外の価値観を知り、世界の人々と自由にやりとりできるような生徒を育てられるよう、映画を最大限活用していき楽しく授業をすすめられますように。

宮下いづみ先生について

Miyashita-sensei小学生から大学生までにグローバルな人材育成のため、「考える力」を伸ばす英語教育を実践して30年以上。Eunice English Tutorial主宰。​「ドラえもんはじめての英語辞典」「イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ」共に小学館など共著。日経新聞に「おもてなし会話術」連載中。武蔵野大学・実践女子大学・田園調布雙葉高等学校非常勤講師。

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