効果的な多読指導法:5つのコツ
(中学生・高校生・大学生編)

昨今、多読の効果や必要性が様々な書物や学会等で報告されて、多読を導入する学校が私立のみならず、公立でも徐々に増えてきているのは、日本の英語教育にとって喜ばしいことです。多読の効果はまず情意面に表れます。特に、英語嫌いが解消され英語に対する自信が出てきてモチベーションの向上が見られます。次に徐々に英語力が向上していきます。語学力に関しては読書スピード向上に始まり、リーデイング力、リスニング力、スピーキング力、語彙力、文法能力等が向上したという研究結果が発表されています。ところが中には多読を導入したものの余り本を読まない学習者がいる、とか、期待したほど学習者の英語力が上がらない、などと、多読に対して懐疑的な先生がいらっしゃるかもしれません。これまで様々な年齢層の学習者を学校で25年以上(個人指導は40年以上)多読指導をしてきた経験から、効果的な指導法の5つのコツを述べます。

[中学生・高校生・大学生の多読指導]

(1)多読図書の選択 (楽に読める本を50~100冊読破)

これは最も大切なことです。多読を持続させるには、学習者の読む気が起こるような図書を選択させる必要があります。読む気が起こる本とは、興味を引く内容であるのは勿論ですが、英語で読む場合は、楽に読める本でなければなりません。楽に読めるとは、辞書を使わず日本語訳をせずに読んで、内容の8~9割を理解できるレベルです。また、選択権があるのも魅力です。学習者の英語のレベルよりも易しくて面白そうな本を並べて、「この中から好きな本を選んでいいです。」というと、皆我先にと選び始めます。「読み終わった人は次の本と交換していいですよ。」と言えば、早く次の本を選びたいから皆真剣に読みます。多読開始から最初の2~3か月は、かなり易しい本 (YL = 0.3~0.6) を大量に(50~100冊)読ませて、日本語訳の癖を取り去ります。日本語訳をしながら読むと、読書スピードは上がらず、多読の大きな効果の一つであるリスニング力の伸びも期待できません。

(2)読書時間の確保 (Sustained Silent Reading:授業中に一斉多読)

次に大切なことは、学習者が読書に慣れてそれが習慣となるまでは、必ず授業中に10~15分間皆で一斉に読ませることです。授業の最初か最後の10~15分に読書時間を設け、その時間で読める程度の短い本(学習者のレベルに合わせて総語数が 100 ~1,500語)を読ませます。その時はストップウォッチが大活躍です。「10分間にどれだけ読めるか、はじめ!」 と声をかけて読ませれば、皆集中して読むため集中力が向上します。 朝の読書時間やホームルームの時間に、10~15分の読書時間が取れれば、毎日この読書訓練ができるので、効果が現れるのが早くなります。もし図書の数に余裕があれば、自宅でも毎日10~15分間読むために本を貸し出し、一人でも読めるように習慣つけをしていきましょう。

(3)レベルアップ方法(同じシリーズの同じレベルの本をまとめ読み)

多読初期に平易な本を集中して50~100冊 読み、日本語訳が出てこなくなり、読書スピードも速くなってきたら(wpm 100 ⇒ 150~200)徐々に本のレベルを上げて行きます。その場合、同じシリーズの本を5~10冊まとめて読み、レベルアップしていけば効果的です。 何故なら、同じ出版社の同じシリーズの本では見出し語(headword)が統一されているため、同じ語彙に遭遇する頻度が高くなり、読めば読むほど読みやすくなり、読書スピードも上がってきます。 結果的に習得語彙も増え、次のレベルへの移行がスムーズに行えます。また、中には同じ作家の本もかなり含まれているので、特徴的な話の展開に気付き、特定の作家にはまっていく学習者もいます。一番効率が悪いのは、様々なシリーズで難易度がバラバラの本を、あれこれ手当たり次第読んでいくことです。最初にどのシリーズが面白いかを捜すために様々な本を読んでみる場合もありますが、好みのシリーズが見つかったら、ある程度同じシリーズでレベルを上げながら読み進めていく方が効果的です。

(4)読書記録をつける(読書記録で自己の成長を確認)

多読を行う時には多読記録手帳を用いて必ず一冊読むごとに読書記録をつけて行きます。読めば読むほど冊数と語数が増えていく記録は、大きなモチベーションになります。1年間の読書状況を振り返ったり、以前に読んで難しいと感じた本を再度読んでみたりすれば、自分の英語力の伸びに気がつきます。そうなれば、授業の一環として読まされるのではなく自主的に読む様になってきます。単位を取るための義務的な苦痛の多読ではなく、楽しみながら学習者の英語力向上を目指す多読になります。

(5)指導者の多読(楽しみながらの教材研究)

多読指導者にとって一番大事なことは、指導者自らが多読を実践することです。学習者にどの本を勧めるか、どのようにレベルアップさせるか、躓いてる学習者にどのような助言をするか等々、指導者が多読図書に熟知していなければ指導が難しいでしょう。多読図書を読むのは他の授業での教材研究と同じことですが、違うのは、楽しみながら教材研究ができるということです。また、指導者自身の英語力が向上して他の英語の授業にも好影響を与えるという副産物もついてきます。


多読授業は周りから見れば、教師は授業中に何もせずに楽な指導法だと思われがちですが、従来の文法訳読(Grammar-translation) 方式の授業と比較すれば、数倍もの準備とエネルギーが必要なのです。如何に個人個人を伸ばしていくか、常に観察・研究をしていかなければなりません。また、教師主導ではなく学習者主導の授業なので、教師が教えるのでなくて、学習者自らが学んでいくものです。そのためには、学習者にやる気を起こさせなければなりません。そこに一番工夫が必要です。指導は大変ですが、それに見合うだけの成果は確実に上がります。 大量のインプットが自然なアウトプットに結びついていきます。学習者の英語運用能力を高めるために、我々指導者自身が思う存分楽しんで多読図書を読みましょう。

髙瀬敦子先生について

高校時代にAFS生としてアメリカ留学、日本の英語教育の欠陥に気付き、帰国後個人指導の授業に多読を導入。 テンプル大学院にて教育学博士号(TESOL)取得。著書「英語多読聴指導マニュアル」(大修館書店)。 梅花中学高校、大阪国際大学、関西大学、近畿大学、甲南大学等で多読指導を導入。 現在、関西学院大学非常勤講師、岩野英語塾にて小学生の多読指導、国際多読教育学会(ERF)理事、日本多読学会(JERA)理事

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生徒が英語で自分の意見を言いたくなる3つの「コツ」

EFLの教室では、生徒が英語で本当のコミュニケーションを行う機会を与えてあげることが大切です。本当のコミュニケーションとは、教科書のダイアログをAさん役とBさん役に分かれて読み合わせたり、暗記したりではなく、自分が本当に聞きたいことを相手に尋ね、本当に言いたいことを相手に伝える、という意味です。思わず聞いてみたくなる、思わず言いたくなるという気持ちが生徒に芽生え、会話を楽しむ、という状況は、どうすれば作り出すことができるでしょうか。
私が最もおすすめしたい効果的な方法は、「生徒が英語で意見を述べ合うこと」です。なぜ意見交換がよいのでしょうか。意見交換は本物のコミュニケーションです。「ドリル」や「練習」とは違います。また、意見を述べるためには思考・判断力が必要で、生徒の知的レベルに合っています。それは言葉の深い習得にも繋がります。何よりも、生徒は自分の意見を伝え、他の人の意見を知ることが楽しいと言います。 でも、英語で意見を述べるなんて難しい、と思われますか?いいえ、大丈夫です!適切な教材と指導法があれば、初級の生徒でさえ英語での意見の交換を楽しめます。私は日本の学校で長年教えていますが、日本の若者は意見を持たないとか、人と違う意見を言いたがらない、など、否定的な意見を聞くことがあります。でもそんな事はありません。日本の生徒は意見交換を楽しみます。人の意見を知りたいと思い、意外かもしれませんが、人と異なる意見を言うことをためらいません。 ただし、生徒に自分の意見を言いたくさせるには、「コツ」が必要です。どのような「コツ」なのでしょうか?3つご紹介したいと思います。
  1. 面白くて身近なトピックを選ぶ。
  2. ユニークなスタンスで論点を示す
  3. 生徒が苦労なく話せる工夫をする。
具体的に見てみましょう。

その1. 面白くて身近なトピックを選ぶ。

まず、トピックの選定が重要です。生徒が興味を持つ話題でなければ、話したい気持ちが芽生えません。ファッション、友情、恋愛、就職、結婚、少子高齢化社会、地球温暖化、キャッシュレス時代、スマホ中毒、A.I、プラスチックごみ問題、などなど、身近な話題から社会問題まで、様々なトピックがあります。生徒がどのような話題に関心があるのか、どの話題なら話したくなるのか、知る必要があります。トピックをリストアップして選ばせるのも、良い方法です。教師の予想とは違うトピックが選ばれることも結構あり、教師の勘が当たらないことも。ただし、レベルにもよりますが、あまり軽い話題ばかりに偏らないように少しだけ介入することも必要です。私は中級以上の生徒であれば、「死刑制度」に関しては、「先生のおすすめトピック」として必ずリストに載せます。生徒の英語力にかかわらず人気があるトピックは、やはり「友情」「恋愛」「結婚」などですね。 しかし、興味のあるトピックを提示しただけで生徒が話したくなるわけではありません。さらなる「コツ」が必要です。

その2. ユニークなスタンスで論点を示す。

こうしてトピックを選んだら、次は論点(観点・主題)の設定です。ここで大切なことは、生徒が思わず何か言いたくなるようなユニークな論点を投げかけることです。分かりやすい例として、「英語学習の意義」というトピックをあげましょう。このトピックに対して、「英語学習はとても大切だ」. という論点を提示し、賛成か反対かを問うとどうでしょう。おそらくほとんどの生徒は「確かにそうだ。当たり前だよ」と思い、議論にもならないでしょう。感情も動きません。ところが、観点を「英語学習は必要ない」とするとどうでしょう。おそらく生徒の心の中では、「え?なぜ?」とか、「そんなのありえないでしょ」とか、「案外そうかもしれない」などのつぶやきが起き、何かを考え始め、何か言いたくなります。 もう一つ、「結婚」というトピックで考えましょう。「あなたは結婚についてどう思いますか」と問われたら、生徒は何と答えていいのか戸惑います。ここでも、生徒が思わず意見を言いたくなるような、ユニークでインパクトのある主題を設定する必要があります。例えば、「人は結婚する必要はない」にするとどうでしょうか。この観点に対して、賛成か、反対か、問いかけます。これは、すぐに反応を生みます。「そうだよ、結婚は個人の自由だよ」と思う人もいれば、「やっぱり私は、結婚は必要だと思う」とか「結婚する人が減ると、少子化が進むよね」と思う人もいますね。生徒は少し考えを巡らす事になり、自分の気持ちに気づいたり、意見を確認できたりします。そして何か言いたくなるようです。他の人の意見を聞いて、「それは違うよ!」と反論したくなることもあるでしょう。または、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と、自分の気持や考えに変化が現れることもあります。 生徒に思わず何か言いたくさせる「コツ」はおわかりいただけたでしょうか。つまり、「アウトプットの意欲」を出させる、ということです。しかし実際にアウトプットをするには、英語力が要ります。語彙や表現を知らないと、自分の考えを伝えることができません。また、間違えたら恥ずかしい、などの不安感もアウトプットの妨げとなります。それらを克服する「コツ」は?

その3. 生徒が苦労なく話せる工夫をする。

生徒の多くは、自分の言いたいことを英語ですんなりと言い表すことには苦労します。「こう言いたいけど言えない!」とか、「これって英語でどう言えばいいの?」とか、「単語がわからない!」など、ストレスの塊となってしまいますね。そこで、教師が様々な意見のサンプルを用意し、それに対して、生徒がI agree. またはI disagree.というだけで意見を示せるようにするのも一つの案です。または、いくつかのサンプルから自分の意見に一番近いものを選ばせる事もできます。これなら、文を一から産出しなくて良いので、ハードルがぐっと下がります。生徒はサンプルの一部をつなぎ合わせたり、補ったりして自分の意見をまとめることもできます。(勘の良い方は、アウトプットの活動でありながら実は知らず知らずのうちにインプットをしていることにお気づきでしょう) できれば、先程述べたユニークなスタンスの論点を示す短い会話、モノローグ、記事文などをできるだけ簡単な英語を用いて作成するとよいでしょう。その教材自体が、意見を述べる際に利用できる表現や文章をたくさん含んでいるのが理想的です。テキストの中に英語のヘルプがあることで、生徒はあまりフラストレーションを感じずに意見が言えるのです。 このように「足場がけ」(scaffolding)をすると、とりあえず相手に自分の意見を伝えることができ、大きなストレスなく、コミュニケーションが成立します。相手の意見を知ることができ、楽しい活動となります。 また、生徒が不安やストレスを感じないように、いきなり教師やクラス全体に意見を伝えることは避け、まず各自がサンプル意見を見て選ぶ、などの個人作業をしたあとで、ペアワークをして伝え合い、必要があればそのあとグループで、などのように、無理のない進め方をします。「意見」なので、正しい答・間違った答えがないことも、安心して話せる要因の一つですね。

まとめ

興味のあるトピックで、インパクトのある論点であれば、生徒は思わず意見を言いたくなります。そこに、語学力を補い不安を取り除く工夫があれば、生徒は英語力にかかわらず、知的レベルに見合った、意味のあるコミュニケーションを楽しむことができます。同時に思考・判断力も養えますし、社会問題に目を向けさせることもできますね。ぜひ試してみてください。 ちなみに、私のクラスでいつも大盛り上がりになるトピックは、「デート代は、男が払うか女が払うか」「男女間に友情は成立するか」「美容整形はありか」「国際結婚はするべきか」などです。先学期は、「プラスチックごみ問題」にとても関心が集まりました。皆さんのクラスでは、どんな話題が人気となるでしょうか。

山中純子先生について

大学や専門学校で長年英語指導に携わってきたベテラン講師。Impact Issues共著者であり、多数のEFL関連書を著作。言語指導者や学習者を対象にプレゼンテーションやワークショップを数多く行っており、関心分野は批判的思考力の養成、討論能力、リーディング指導、多読の普及など。現在は愛知学院大学と中京大学で教鞭を取っている。

プレゼンテーションのクラスにおすすめのコースブック

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新学年の始めにぴったり!5つのスピーキングアクティビティ

これから始まる新学年、新しいクラス、新しい生徒たちとの出会いが待っています。授業初日は、生徒たちと触れ合い、これからの方針を伝えるチャンス。1年の幸先の良いスタートを切る事が重要です。 今回ご紹介する5つのスピーキングアクティビティは、生徒たちの関心や英語のレベルを探るのに役立つと同時に、生徒たちにとってもクラスメイトと交流して良い関係を築くきっかけとなり、快調なスタートを切ることができます。

1. ボール送りゲーム

ボールを使ったゲームは、生徒がゲームを楽しみながら緊張をほぐし、英語を思い出すようにするためにもってこいです。体を使ったアクティビティの最中は言語面だけを意識せずに済むので、プレッシャーから解放されるのです。
  • 授業が始まる前に、生徒に答えさせたい質問をいくつか用意しておきます。初対面の生徒たちには、「好きなもの」「嫌いなもの」「趣味」などを尋ねる質問を選びます。生徒同士前からお互いを知っている場合は、お休み中の体験に関する質問も良いでしょう。
  • 生徒たちは教室の床で円になって座り、ボールを転がしたり投げながら、先生が準備してきた質問をお互いに訊いたり答えたりします。
  • 生徒が見ながら質問できるよう、質問を掲示しておきましょう。ボールを持っている生徒は質問をしてボールを投げ、受け取った生徒は質問に答えます。
ヒント: 質問を掲示しておく代わりに、全質問を書いたルーレットを各グループに一つずつ渡し、担当の生徒がボールをパスするごとにルーレットを回転させる、というやり方もあります。 他にも、色分けされたビーチボールを使い、各色の部分に質問を書いておいて、生徒に色を選ばせてもいいでしょう。

2. 「ピザとパスタ、どっちがいいの?」

英語圏ではパーティの定番ゲーム「Would you rather…?(どっちの方がいい?)」の簡易バージョンです。先生は2つの選択肢がある質問を投げかけ、生徒が好きなほうを選ぶ、というものです。
  • 生徒たちを教室の真ん中で一列に並ばせます。クラスの人数が多い場合は、廊下を使うと良いでしょう。
  • 先生は「ピザとパスタ、どっちが好き?」などの質問を投げかけ、選択肢ごとに右か左を指差します。考える時間を数秒間与えた後、生徒たちは自分の選んだ答えにしたがい右と左に分かれます。
  • 次に、前の生徒がすぐ後ろの生徒に自分の選んだ答えについて説明します。列の最後で1人余るときは3人組にします。年齢の低い生徒なら、「I like pizza.」など、自分の選択肢を英語で言うだけでいいでしょう。
ヒント質問が終わるたびに最前列の生徒が後ろに移動するようにすると、毎回違う生徒同士組むようにできます。

3. 友達探しビンゴ

このアクティビティは 「Find someone who… (当てはまる人探し)」をアレンジしたもので、生徒のレベルに合わせた応用もできます。
  • 3マス×3マスの線を引いたビンゴ用紙のプリントを作ります。それぞれのマスには、少なくとも生徒の1人は当てはまりそうな内容(例:「3月生まれ」「夏休みにアメリカに行った」「『スター・ウォーズ』ファン」)を書きます。
  • プリントを生徒全員に配ります。生徒はクラスを歩き回ってそれぞれのマスの内容について質問をし合い、「Yes」という答える子が見つかったらマスにバツを書いて潰し、別の子に質問します。
  • 全マスを攻略した生徒が優勝です。
ヒント: 生徒のレベルが高いクラスでは、マスの数を増やすか、自分でマスを埋めさせます。レベルの低いクラスでは、マスに言葉ではなく絵を入れておき「Do you like …?という質問に絞る、というやり方もできます。 ビンゴ用紙のサンプルはこちら

4. 共通点と相違点探し

2人組で質問をし合い、お互いの共通点と相違点を見つけ出すスピーキング&ライティングアクティビティです。
  • 2つの円を交差させた「ベン図(下図参照) 」を大きく印刷したプリントを用意しておき、1組に1枚配ります。もしくは、生徒たちでノートに手描きでベン図を描かせてもいいでしょう。
  • 2人組になって、下記のような質疑応答をします。
    生徒A: Do you have a pet? 生徒B: I have a dog. 生徒A: I have a cat. That’s different.
  • 生徒たちは図の中に単語や短い語句を書き込みます。5~10分で完成させるように指示しましょう。
  • 次に4人組になり、各自仲間と発見を共有します。(例:「My birthday is in May but Luisa’s birthday is in August.」)

5. なりきりアクティビティ

生徒の中には、知らない相手には自分の話をなかなかしたがらない子もいます。恥ずかしがりだったり自信がなかったり、新しいクラスの子にどう思われるかを気にしたりと、特に思春期手前の生徒に多い傾向です。そんな状況への対処方法として、キャラ設定をしたアイスブレイク用アクティビティはいかがでしょうか。
  • 生徒に、新しい、架空のキャラ作りをさせます。名前、年齢、国籍に始まり、家族構成や趣味・関心、性格まで、すべてを作り上げます。
  • 生徒の想像力をかき立てるため、写真を何枚か用意します。生徒は漫画の登場人物を選んでもいいですし、キャラを完全に創作してもいいでしょう。
  • キャラ作りができたら、その役柄になりきります。
  • パーティーに出席し、たくさんの素敵な人々と出会う、という状況設定をします。BGMを流し、生徒たちは教室内を歩き回って周りに自己紹介をします。質問を交わし、雑談をして、できる限りお互いのことを聞き出します。

ヒント: 生徒が自分のキャラになりきるための帽子、メガネ、カツラなどの小道具や衣装を用意しておく(もしくは生徒に持参させる)と、アクティビティがさらに楽しいものになります。

作者: Joanna Wiseman (ジョアンナ・ワイズマン)、Primary マーケティング・マネージャー 、Pearson English

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「Big」な質問から始めよう

「Go」という言葉から、どうやって生徒に興味を持たせられるだろうか — 新しいトピックや課題を紹介しようというとき、どこの国の先生方も、そんな自問自答をすることでしょう。本記事のタイトルからお気づきかもしれませんが、今回のテーマは「質問のしかた」です。
何かをそのまま述べるだけよりも、質問にすることでさらに会話や刺激が生まれるもの、そう普段の人間関係から実感している方もいるかもしれません。では、もう少し突き詰めて考えてみましょう。次の2つの話し方を聞いた生徒は以下のどの返答をするでしょうか? A) 今週のテーマは、「宇宙開発」です。 B) 宇宙を開発することは大事だと思いますか? 生徒の反応:
  • 賛成意見または反対意見を表明できる:A or B
  • 知識に基づき、トピックについて会話を始められる:A or B
  • 自分の意見には価値があると感じる:A or B
  • トピックについて、自分も意見を言えると思う:A or B
  • このトピックは先生が進めるのだろうと思う:A or B
質問文のほうが断定文よりも生徒を引きつけることは明らかですね。生徒たちは想像力を働かせ、反応も良くなり、深く考えるようになります。 ただし、どんな質問文でもいいというわけではありません。生徒を考えさせ、会話につながる質問もありますが、単純なイエスかノーで終わってしまい、後が続かない質問もあります。 そこでおすすめなのが、「Big」な問題についての「Big」な質問です。このタイプの質問は、会話や学びを続かせます。

そもそも、「Big」な質問とは?

「Bigな質問」には正解がなく、アイデアや意見が湧くきっかけになります。また、授業でこれからこのトピックを扱い、新しい情報を学び、そして知識をシェアし合うのだ、という認識を生徒に与えます。 では次の質問の中で、どれが「Bigな質問」だと思いますか? 生徒が最も関心を持ちそうな質問はどれだと思いますか?
  • 家では電気を使っている?
  • 電気はどこから来ているの?
  • 「ヒーロー」の条件とは?
  • あなたの好きなスーパーヒーローのキャラクターは?
  • どうして学校に行くの?
  • 学校は好き?
  • 地元は田舎? それとも都会?
  • どうして人々は都市に住むの?

「Bigな質問」を使ってトピックを紹介した後は?

「Bigな質問」をした後は、生徒たちがもっと積極的になり、進んで発言し、ただし場を独占しない程度に見せ場を持つようにしなければなりません。ですから、生徒に様々な形で答える機会を作ることをおすすめします。例えば、こんな指示ができます:
  • メモを取る
  • 絵を描く
  • グループや二人組で話し合う
  • 一人ずつ、クラス全員の前で話す
他にもおすすめなのが、掲示板の利用です。「Bigな質問」を掲示しておき、生徒たちに、自分の描いた絵、メモやアイデアを加えてもらう、という使い方ができます。「Bigな質問」には完全な、簡単な答えは存在しないため、生徒には途中でアイデアや意見を修正しても、新しく足してもいいのだと念を押しておきましょう。 よく考え、思いつくままに意見を変えたり、アイデアを試したり、議論の題材を提案したりしてもいいのだという意識は、思考力の成長に欠かせません。 最初からすべてうまくいく必要はない、と生徒に伝えることも重要です。思い違いをして発言した後に、考え直してもいいのです。「Bigな質問」も、工作や、共同制作作品のようなものだと考えてみましょう。小さなアイデアであれ大きなアイデアであれ、好きなように表現させてあげましょう。

思考や知識を培うには?

「Bigな質問」を答えやすくするには、刺激や情報、事実やアイデアといった材料を使って、生徒が知識を広め、意識を高める補助をしてあげる必要があります。 方法はたくさんあります。例えば、先に紹介した「Bigな質問」のうち「電気はどこから来ているの?」であれば、太陽や、風力・水力発電についての話をしてもいいでしょう。化石燃料の発掘についてや、化石燃料はなぜ再生が難しいのかについて、でもいいかもしれません。 そうすると、自分が、どんな資源から生まれた電力をどう使っているのか、環境への意識を高めることはできるのか、どうしたら可能になるのか、など考えるきっかけになります。 こういうアクティビティは、段階を踏んで進めることが大事です。「太陽」をサブトピックに選んだら、こんなふうに話題を掘り下げてみてもいいでしょう:
  • 太陽とは何か? 太陽は何からできているの?
  • 太陽が地球にもたらしているものとは? 太陽の光はどのように利用されているの?
  • 太陽エネルギーは、生活や産業でどんなふうに活用されているの?
  • 太陽エネルギーは再生可能なの?再生できる自然エネルギー源には他に何があるの?
  • 再生可能エネルギーを使うといい・必要なのはなぜ?
年齢の低い生徒向けの「Bigな質問」についても考えてみましょう。例えば、「どうして学校に行くの?」なら、こういう掘り下げ方をしてもいいでしょう:
  • 学校ではどんな授業があるの?
  • 好きな科目は何?
  • どうして算数を習うの?
  • 学校以外で算数を使うことはある? いつ、どこで、どうやって使うの?
  • 他の科目は、学校の外でどんな風に使えるの?
  • 勉強以外には、学校でどんなことをしているの?
  • クラスの子と一緒にいるのは好き? 一人でいたいこともある?
  • 一日中家にいても、学校でしていることを全部できると思う?
  • この先学校でやってみたいことは何?

時間をかけてゆっくりと

「Bigな質問」は、リーディング、ライティング、スピーキングなどの技能の練習にもなりますが、「Bigな質問」を使って新しい単語や文法を教えることもできます。ですから、あせらずゆっくりと進めましょう。量は少なめでも、時間をかけて生徒が学習内容をすべて吸収する時間を与えるほうが得策です。教科書を使うのは結構ですが、進度を気にする必要はありません。どんな話題であっても、さっさと通り過ぎてしまうよりも深く掘り下げて学ぶほうが満足感を得られるものです。何よりも、そうすることで楽しく、記憶に残る授業になるのですから。

About Jeanne Perrett

ジーン・ペレット先生はサセックス大学英文科卒、1981年からギリシャ在住。35年以上にわたり教師、校長、発行人、ライターとして言語教育業界に携わり、著者としても著名な幼児や児童向けのEFLシリーズをいくつも手がける。児童英語コース『Now I Know!』シリーズの共著者でもある。世界中の英語教師を教え、英語教育カンファレンスでも多数講演。4人の子を育て、今では5人の孫を持つという実践的な経験も生かしている。

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子どもにも学びが「見える」教え方

現代社会では、睡眠の質から車の運転の技術に至るまで、生活のありとあらゆる側面を確認することができます。学校もこの例外ではなく、保護者から学校経営者、政府までが児童の学習状況について多大な関心を寄せています。 生徒の学習進捗把握にこれまで以上の時間を割くことや報告書を書くこと、保護者を安心させることなど、多くの役割が期待され多忙を極める先生方も多いことでしょう。もちろん、上達を確認することは成功を讃えることに繋がり、ポジティブな効果があります。でも、私たちはこの中で最も大切な「子どもたち自身」を忘れていないでしょうか?

学習者のニーズに合わせた指導のその先へ

子どもの英語指導者は、学習者のニーズに応えることに秀でていますので、楽しめる要素—ゲームや歌やお話、課題に工作などが盛りだくさんの授業を計画します。だからこそ、いっそう子ども側は自分がどんなにたくさんのことを学んでいるのか、全く気づいていないということも珍しくありません。 「今日は何を学んだの?」と問いかけると、口を揃えて「別に何も」と答える子どもたち—そんな歯がゆい場面に心当たりのある先生も多いはずです。何も学んでいないわけがないのですから!文法、語彙、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングを教えていますし、子どもに言動を意識させ、手足や指先を動かすことも授業の一環です。学習ストラテジーやデジタルリテラシーを養い、さらに協働・自立作業の機会も与え、他にももっとたくさんのことを学んでいるはずなのです。 「別に何も」という答えではなく、生徒が「授業で何をしたのか」そのまま挙げられるように、やり方を工夫してみてはどうでしょうか。これは難しいどころか、関係者全員にとって有益なことでもあります。子ども自身が「学習過程に関わる」と、本人の達成するレベルも高まるという研究結果も出ています。ここでの「学習過程に関わる」とは、何を学習しているのか、どうやって学習しているのか、そして先生に期待されていることは何か、子どもが自覚することも含まれます。 「自覚」は、21世紀を生き抜く上で必要不可欠な能力の1つです。私たち教師にとっては、子どもが自身の学びに気づき、理解し、それを自ら口に出すよう促せば、保護者に対して子どもが遅れずついて行っていることを納得させられる、ということも大事なポイントです。 以上を踏まえて、子どもの英語クラスにおいて学びが「見える」ようになるためのコツをいくつかご紹介します。

1. レッスンメニューを使う

授業の始まりと終わりに、子どもたちに「レッスンメニュー」を見せ、これを使ってその日の授業について説明します。これを「Can-Do」項目の形で書くと、その日学習したことを子どもに意識させるのに特に効果的です。 「Can-Do」項目に対し、授業の始まりに子どもたちが「Yes」「No」(または親指を立てる/下げるなどの動作で示す)で答えてもらい、子どもが既に知っていることは何か、どこに知識の差があるのかを把握しましょう。そうすれば、生徒が本当に勉強する必要がある内容に貴重な授業時間を充てることができます。 そして、授業が終わるまでには、子どもたちは「Can-Do」項目のうちいくつかには「Yes」と答えられるようになっているはずです。生徒が「Yes」と答えない場合、次の授業の課題が何か、自ずとわかりますよね。 レッスンメニューは、子どもの関心を授業内容に向けることができますし、子どもに大いに安心感を与えます。授業の進度を把握することで、自分の学習に対する責任感と自主性が生まれるからです。 最後に、授業の終わりに何を学んだのかを話すことで、子どもたちは帰って保護者に今までよりもっと上手に同じ情報を伝えられるようになるという効果もあります。

2. 成功条件を示す

子どもの学習者は、アクティビティを終わらせるのに最短ルートを辿ろうとする傾向があります。1単語で答えたり、不完全な答えを言ったり、憶測で答えたり、これではアクティビティの効果が中途半端になってしまうことも多いでしょう。そこで役立つのが「成功条件」です。 「成功条件」とは、要は指示の延長です。アクティビティを成功させるのに何をすればいいのかをはっきりと示すもので、どんなタスクにも使えます。ここで、何を以って「成功」とするのか手本として見せる際に、生徒たちの助けも借りるようにできれば理想的です。 ハガキを書くというアクティビティであれば、見本となるハガキを見せて、どの要素が重要なのかを生徒たちに自分で考えさせるようにします。プレゼンテーションであれば、どんな例を見せるかを考えましょう。必ずしも良い例を見せる必要はありません。悪い例も、避けるべき行動は何かを教えるのには非常に効果的な場合もあります。 アクティビティの後で、生徒たちは自分の進捗を振り返ったり、2人組で評価し合ったりする際に「成功条件」を参考にします。先生側も、「成功条件」を元に、生徒にとって有意義な、詳しいフィードバックを与えることができます。

3. その都度、継続して評価する

生徒を評価するのに、学期の終わりまで待つ必要はありません。私たち教師は生徒を常に観察しています。気づいたことをその都度記録しておくことで、生徒の強みや努力が必要な部分について理解するにあたり鍵となる情報が得られるうえ、長期的には時間の節約にもなります。 子ども学習者の場合、言語面だけではなく、行動面や発達面での目標も意識しておく必要があります。例えば単独作業、グループ作業、独創的思考や批判的思考、ストレスへの対処などです。 褒めるべき時に褒めることは、子どものやる気を大きく刺激します。様々な条件を広く考慮すれば、どんな子どもでも、その子自身の学習の中で褒められるところがあるものです。ここで大事なのは、子ども一人一人を個別の人間として見ることです。そうすれば、子どもと子どもを比較してしまったり、意図せずに言語能力で順位を付けてしまったりといったことを避けられます。 こちらのチェックリストを、その都度生徒に評価を付け、継続して観察するのに使ってみてください: Continuous assessment checklist

以上、子どもを教えるにあたり、学びが「目に見える」ようにするアイデアをいくつかご紹介しました。 参考資料:
Hattie, J. (2012). Visible learning for teachers. Maximising impact on learning. Routledge.

About Amanda Davies

アマンダ・デイヴィス先生は児童英語教育アカデミックマネジメントでも長く経験を積んだ、経験豊富な教師、教師指導者、教材開発者、著者であり、編集者でもある。子ども英語教師の職能開発に熱心に関わっており、カンファレンスでの発表や、記事やブログの執筆、対面そしてオンラインでの教師研修を定期的に行なう。子どもの外国語学習プログラムを専門とする国際教育コンサルタントでもある。ポーランド在住で、英国、ロシア、スペイン、レバノン、エジプト、トルクメニスタンでの実績を持つ。IATEFL Young Learners and Teenagers Special Interest Groupの出版物編集者。

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コースブック・CAN-DOリスト・ポジティブピアプレッシャーでプレゼンテーション能力の向上を図る

私たちの高校は、文部科学省が行った平成29年度英語教育改善のための英語力調査において、読解、リスニング、ライティングの分野がほぼ全国平均スコアと横並びの状態です。ところが、英会話では全国平均が5.7(14点満点中)であるのに対し、本校のスコアは11.7を達成しました。非常に喜ばしい状況です。しかしながら、このスコアはいかにして達成されたのでしょうか?
教科書 教科書の価値に確信を持てない教師が多くいますが、優れた教科書はコースの骨組みとなり、教師の仕事を充実したものへと導きます。さらに、CAN-DOリストが考慮された(CEFRやGSEなどで普及した)コースでは、教師と生徒が明確な目標に向けて集中して取り組むことができます。本校では現在、English Firsthandを使用しています。この教科書は生徒がすぐに実施することができる適切で高品質なアクティビティが提供されているので非常に便利です。さらに、オーディオには様々な英語のアクセントが含まれており、レッスンの目的も明確に記述されていて、レッスンの順序も論理的に構成されています。モバイル操作に慣れている生徒たちは、オンライン教材MyMobileWorldを使用して、教室の外でも発音やその他のスキルの勉強をすることができます。 生徒のプレゼンテーション 私たちにとって特に興味深かったのは、English Firsthandの Presentation Modelです。この教材では、生徒は様々なトピックについてプレゼンテーションを作成する方法をビデオモデルで見ることができ、生徒自身でプレゼンテーションを作成するためのサポートも提供されています。また、モデルは、自然で作り過ぎないレベルのパフォーマンスであり、生徒がアプローチし易いようです。 本校では、まずリハーサルとして生徒10名でグループをつくり、生徒たちは順番でプレゼンター、アドバイザー、エバリュエーター、タイマーとなります。また、生徒がプレゼンテーションを計画するために、ローテーションスケジュールと評価シートを準備しています。生徒がアドバイスと評価をすべて集め終わると、生徒は他の生徒からの評価を用いて、プレゼンテーションの問題点を改善します。自主練習期間を経て、本番で生徒たちは熟慮されたプレゼンテーションを発表することができるのです。
Role Rolling Model
Role Rolling Model
CAN-DOリストと生徒のプレゼンテーション 生徒がプレゼンテーションを行うにあたり、本校ではCan-Doリストとスピーチを直接結び付けて、英語で活動する能力を具体化できるようにしています。ここで重要なことは、生徒たちは各自が選択したCAN-DO目標を共有し、他の生徒はプレゼンターである生徒が選択した目標に基づいてアドバイスや評価を行います。 本校のクラスでは、生徒が他の生徒たちとプレゼンテーションの準備を始める前に、良いプレゼンテーションの明確なモデルについて学びます。その後で、生徒はプレゼンテーションを作成し、他の生徒からアドバイスをもらい、評価を受けます。プレゼンテーションが完了した生徒は、もう一度プレゼンターになる順番が来るまでアドバイザーやエバリュエーターとして参加します。 生徒たちは、プレゼンターとしてだけでなく、アドバイザーやエバリュエーターの役割を通して、ボディランゲージ、アイコンタクト、自信、スピーチの聞き取りやすさ、考えの構成、ビジュアルエイドなどのようなプレゼンテーションスキルをより徹底的に学ぶことができます。
Evaluation Sheet Example
Evaluation Sheet Example
結論 Can-Doリストを中核としたコミュニケーションに特化した教材を使用し、生徒同士でアドバイザーやエバリュエーターの役割も担いながら、プレゼンテーションを徹底的に繰り返し練習することで、本校の生徒の英会話能力と自信が大幅に向上しました。

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体験談:GSEを活用した迅速かつ柔軟性のあるカリキュラム構成

教師はいつも多忙です – しかも、大規模な教育機関でさえ、フルタイムのカリキュラム作成専任スタッフがいることは稀です。所属する組織から教師が多数のクラスのカリキュラムを数ヶ月で作成するよう依頼されるケースも珍しくありません。教師には期限内に良質なプログラムを作成するというプレッシャーが重くのしかかります。これは、本校での私たちの経験そのものです。ですから、ピンポイントに各レベルの学習指標(CAN-DOリスト)が用意されているGSEを発見したとき私たちは本当に喜びました。関連性の高い良質なカリキュラムを素早く作成できるようになったからです。 
我々の状況 私たちが受け持っている生徒は、本大学の英語学部の1年生と2年生の生徒たちです。プログラム全体としての目的は以下のとおりです:
コミュニケーションおよび学術的なスキルと能力、および日本国内の大学生として、そしてグローバルコミュニティの一員として意味あるディスカッションや研究を行うために必要となるコンテンツナレッジを培うこと。
これらの目標はコミュニケーションと英会話にも重きが置かれた、本校の4技能を軸とする総合英語学習でも以前から謳われてきたものです。本校では、運営上の判断によって英検準一級が学習目標に追加されて以来、長きにわたって機能性重視のシラバスが採用されてきました。私たちはプログラムを見ながら、「生徒が3年生に昇級するためには、この目標を達成しなければならない。本校の既存のプログラムで生徒に目標を達成させることはできるか?」と自問自答していました。そして、私たちがたどり着いた答えは「NO」だったのです。  私たちは6ヶ月間ほどで、A-2レベルの生徒たちをB-1プラスと同等の英語力である英検準一級にまで上達させる2年分の60クラスを構成し直すことになりました。これは非常に大きな伸びを必要とします。 必要事項の分析 英検準一級で求められる言語能力には次が含まれます:
  • 一般的な学術スキル
  • 文脈に沿って説明できるスキル
  • 意見を述べ、討論するスキル
(出典: Oberg, 2009) しかしながら、私たちは特定の試験や試験対策に焦点をあてたカリキュラムの作成は希望していませんでした。そこで、試験に合格するために必要となる技能を詳しく分析してみたところ、非常に有用な技能が多く含まれていることが分かりました。それらの技能に、プレゼンテーションスキルなど本校独自の技能要件を加えました。どれも生徒たちが社会に出たときに有用な技能です。そして、大学が求める試験要件も満たすことができます。さらに、私たちは生徒たちが環境、性別、移民など、世界規模のトピックスについて話すことができることを強く望んでいました。これが、私たちのスタートポイントです。 技能の一致と学習指標(CAN-DOリスト) 必要な技能を定義したら、次に必要なのはカリキュラムの作成です。幸運なことに、私たちはGSE CAN-DOリストの評価に携わった経験があり、特定のディスクリプタがどの難易度やレベルに属するか理解していました。私たちは、GSEを使用したカリキュラム作成のケーススタディにも目を通しました。そうすることで、私たちが生徒に学んでもらいたい技能とCAN-DOリストのディスクリプタを一致させることができると分かりました。私たちの生徒の語学レベルと目標は、A2からB1+のディスクリプタと一致していました。 Can-Doリストとは通常、下記のような内容です:
  • Can tell a story or describe something in a simple list of points.
  • Can get information from a tourist office of a straight-forward non-specialized nature
  • Can initiate, maintain and close simple, restricted face-to-face discussions
  • Can give simple instructions to complete a basic task, given a model
  • Can leave simple phone messages using fixed expressions
ディスクリプタには膨大な種類があり、すべてを学習することは不可能です。ですので、教師の感性、知識、経験を用いてカリキュラムや生徒に合わせた適切なディスクリプタを選択する必要があります。GSEのCAN-DOリストはこちらからダウンロードできます。 選択し、組み合わせる – だけではなく、GSEを適用するためのこのプロセスが教師の力となり、GSEの有用性や柔軟性を身をもって理解させてくれるのです。 以下は本校の総合英語プログラムで採用されているCAN-DOリストの一例をご覧いただけます。 Map of IE Language Learning Objectives

Key General Academic (Functional Language) Skills

  1. Can show understanding using a limited range of fixed expressions (1AU1)
  2. Can give compliments using fixed expressions (1BU9)
  3. Can ask for clarification about key words not understood, using fixed expressions (1AU1) (1AU2)
  4. Can paraphrase a simple factual statement related to a familiar topic (1AU2)
  5. Can use basic discourse markers to structure a short presentation (1BU8)
  6. Can explain key information in graphs and charts, using simple language (1AU4) (1AU2) (1BU6)
  7. Can answer basic questions about information presented in graphs and charts (1AU4) (1AU2) (1BU6)
  8. Can discuss illustrations in an academic text, using simple language (1BU9)
  9. Can give a simple presentation on an academic topic in their field (1BU8)
  10. Can ask for more information by interrupting politely during or after a simple lecture or presentation aimed at a general audience, using basic follow-up questions (1AU3) (1BU8)
  11. Can ask questions about the content of a presentation or lecture aimed at a general audience, using simple language (1BU8)

Additional Important General Academic (Functional Language) Skills

  1. Can explain meaning of a word or phrase using simple language (1AU2)
  2. Can answer questions about the content of a presentation or lecture (1AU4)
  3. Can give an effective presentation about a familiar topic (1AU4)
  4. Can summarize information from a simple academic text (16U9)

Key Narrative and Descriptive Skills

  1. Can tell a story or describe something in a simple list of points (1BU8)
  2. Can make a short rehearsed announcement on a familiar topic (1BU10)
  3. Can give a short basic description of events and activities (1AU3)
  4. Can narrate a story (1BU10) (1AU3)
  5. Can give detailed accounts of experiences, describing feelings and reactions (1AU1)
  6. Can reasonably fluently relate a straightforward narrative or description as a linear sequence of points (1AU3) (1610) (1AU3)

Additional Important Narrative and Descriptive Skills

  1. Can give a short talk about a familiar topic, with visual support (1BU8)
  2. Can describe dreams, hopes and ambitions (1BU10) (1AU3)
  3. Can discuss the main points of news stories about familiar topics (1AU3)
  4. Can give a short, rehearsed talk or presentation on a familiar topic (1BU9)
  5. Can re-tell a familiar story using their own words (1AU1)

Key Opinion Stating and Discussion Skills

  1. Can give simple opinions using basic fixed expressions and simple language when asked directly (1AU1)
  2. Can initiate, maintain and close simple, restricted face-to-face conversations (1BU6)
  3. Can show interest in conversation using fixed expressions (1AU1/U2) (1AU5)
  4. Can use some basic interjections to express understanding, surprise, disappointment, and excitement
  5. Can convey simple information of immediate relevance and emphasize the main point (1AU4)
  6. Can express belief, opinion, agreement and disagreement politely and can express support or
  7. Can initiate, maintain and close simple face-to-face conversations on a familiar topic (1BU6)
  8. Can give or seek personal views and opinions in discussing topics of interest (1BU7) (1AU2) (1AU4)
  9. Can invite others to give their views on what to do next (113U6) Additional Learning Objectives (Advanced Level Only)
  10. Can ask and answer basic questions in simple academic discussions (1AU1)
  11. Can contribute to a group discussion if the discussion is conducted slowly and clearly (1AU3)
  12. Can ask someone to clarify or elaborate what they have just said and can give clarification (1AU3)
  13. Can give simple reasons to justify a viewpoint on a familiar topic (1BU8) (1AU1) (1AU2)

Additional Opinion Stating Discussion Skills

  1. Can respond in a simple way to a verbal challenge (18U9)
  2. Can express opinions and react to practical suggestions of where to go, what to do (1AU2)
  3. Can signal that they wish to bring a conversation to an end (1BU9) (1BU6)
  4. Can ask someone to paraphrase a specific point or idea (1AU2) (1AU4)
  5. Can explain the main points in an idea or problem with reasonable precision (1AU4)
  6. Can express their thoughts in some detail on cultural topics (e.g. music, films) (1AU3)
  7. Can ask a question in a different way if misunderstood (1AU1) disagreement in a way that shows they were actively listening to the other person (1AU2/1BU7) (1BU9)
  8. Can report the opinions of others (1AU4)

Additional Learning Objectives (Advanced Level Only)

  1. Can ask others for reasons and explanations (1AU3)
  2. Can ask a personal or sensitive questions politely (1AU3)
  3. Can use indirect questions in a polite manner (1AU5) (1AU2)
プログラムのコンテンツ部分(環境、性別、移民など)には、WigginsとMcTigheによって開発された「Understanding by Design」の原理に基づいた真正のL1教材を使用しました。 技能、ディスクリプタ、そして教科書 技能を定義し、本校のディスクリプタと一致させた後は、本校で使用している教科書への影響を考える必要がありました。しかし、教科書の選択は最後に行うことがとても重要です。使用されている教科書が必要な技能やディスクリプタを網羅していれば良いのですが、網羅していない場合は間違った教科書を使用していることになるので、他の教科書に変更しなければなりません。ピアソンにはGSEレベルとCAN-DOリストのガイドとなる教科書が用意されています。 評価 GSEの学習目的がない古いシラバスを使用していた頃、本校の生徒は自分たちがどのように評価されるのかを非常に知りたがっており、生徒から多くの苦情も受けました。生徒たちは自分のスコアは分かるのですが、なぜそのようなスコアを取ったのかを理解することができませんでした。スコアと生徒のできること、できないことが明確に一致していなかったのです。 現在では、評価をする際にどのパフォーマンスに対して、どのような評価基準が適用され、どのような実施結果が求められているのかを明確に説明できるようになりました。 一例を紹介します: 2年生のクラスで、絶滅危惧種についてのディスカッションを行っていました。生徒たちはグループに分かれて絶滅危惧種の動物について調査し、その動物を保護しなければならない理由を考えます。それから、生徒たちは他のグループの生徒たちと一緒に調査した内容について討論します。生徒はディスカッションスキル、調査の質、議論の首尾一貫性を評価されます。  これらの評価はCAN-DO評価で明示されている生徒のパフォーマンスに基づいて行うことができるため、生徒は何に対するスコアなのか明確に理解することができ、生徒の苦手な分野と得意な分野を知ることができます。 以下は本校で採用している評価をご覧いただけます。
How you will be graded: (1 point for each criteria; Total = 10 points)
Criteria Outcome Assessment
Materials Fill out the worksheet List of pros and cons with reasons/examples
CAN-DO… Can give simple reasons The first reason is… Another reason is…
Can show interest I see / Really? / That’s interesting. / Wow!
Can show agreement and disagreement I agree / I disagree / That’s right / That’s true / I don’t / I see your point, but…
Talking about endangered animals Can suggest pros and cons for saving or not saving an endangered animal I agree / I disagree / That’s right / That’s true / I don’t / I see your point, but…
Can use specialized vocabulary from topic Vocabulary
Fluency/Accuracy Can talk in fluent English
Can talk with reasonable accuracy
結論 本校において、CAN-DOリストと紐付いているは次の場合において非常に有用なリソースとなりました: 
  1. 生徒に習得してもらいたスキルに基づいた英語学習カリキュラムの作成
  2. カリキュラムと関連性のある教科書探し
  3. 生徒にとって関連性があり、理解しやすい評価の提供 
そして、教師の仕事が格段に早く終わるようになりました!

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英語専攻ではない学生にとって英語を本物の(かつ魅力な)言語にするには

私たちのほぼ全員が経験したことがあるのではないでしょうか。そう、英語専攻ではない学生のための必須クラスです。英語を特に必要としない専攻の生徒たち。特に英語が好きなわけではない生徒たち。
私は今回そのような生徒のためのクラスを教科書のFind Someone Whoを使って始めました。生徒は立ち上がって歩き回りながら他の生徒に質問し、「Yes」と答えてくれる生徒を探します。ある生徒のお題は「Find someone who likes English(英語が好きな人を探そう)」でした。29人の生徒中、「Yes」と言ったのは1人だけ。28人は「No」と答えました! なるほど。つまり、生徒たちにとって英語が本物の言語であったことはこれまでに一度もない。アイデアを伝えるためのコミュニケーションツールであったこともない。いつも英語と言えばテスト、しかも苦手なテストだった。さあ、私はどうやって成功に導けばよいのでしょうか? 今回の場合はそんなに難しくありませんでした。生徒たちは初等教育および幼児教育を専攻していました。そこで、私は英語のわらべ歌をクラスで取り上げることにしました。クラスの最初の10分間は、生徒たちが小学校や幼稚園の教諭になったときに活用できる内容を学習しました。クラスの大部分は教科書(English Firsthand Success、私のお気に入りです)を使って行いましたが、ウォームアップで導入した歌、指遊び、大型絵本の読み聞かせが、生徒の英語に対する姿勢を変えました。
Using big books in class
“Karuta” – a famous Japanese game“Twister”Using big books in class
私は英語と生徒たちの興味や生活を結び付けながら指導していました。最初、私のクラスには英語を好きな生徒がたった一人しかいませんでした。その4ヶ月後、小学生に英語のゲームや歌を教える「サマーカレッジ」という休日イベントが大学で開催されたときには、私のクラスから9人の生徒が自主的に参加しました。昨年の2学期目には、クラスの半数以上の生徒が(自由時間を使って)本大学の幼児/児童林間学習センターでの英語クラスの指導にボランティアで参加していました。 私が生徒たちの興味と英語を結び付けただけで、生徒たちの英語に対する姿勢が完全に逆転しました。生徒たちは積極的にクラスに参加していました。そうすることで、生徒にとってクラスがさらに面白さを増していきました。私の指導する楽しみもぐっと増しました。 この方法が私のクラスの初等教育/幼児教育専攻の生徒に有効だとしたら、他の生徒ではどうでしょうか? 私は英語専攻ではない学生のためのウォームアップとタスクというウェブページを作成しました。今のところ、このサイトには、ただ英語を学習するだけでは英語に興味を持たないであろう生徒に対して使用できる、生徒と関連性のある約40個のウェブサイトへのリンクやその他のリソースが紹介されています。現時点で含まれている専攻は:
  • 一般英語
  • 経営
  • 初等教育/幼児教育
  • 食物および栄養
  • 日本文学/文化
  • 国際文化研究
  • 心理学
  • 体育
  • 物理科学
上記に加えて、その他の専攻の生徒を指導する教員のためにいくつかのアイデアを紹介しています。 どうぞお気軽にサイトをご覧いただき、生徒の指導にお役立てください。 その他の専攻/リンクのご提案がありましたら、ぜひお聞かせください(私の連絡先情報もサイトに記載されています)。 このサイトがあなたと生徒を結び付け、生徒と英語を結び付ける助けとなることを願っています。

Marc Helgesen先生について

Marc Helgesen氏はピアソンの人気のEnglish Firsthand シリーズを含む、180を超える記事、本、教科書の著者であり、仙台市にある宮城学院女子大学の教授でもあります。同氏は5大陸で学会にスピーカーとして招待された経験があります。同氏の研究分野にはELTにおけるポジティブ心理学、ELTにおける脳科学、多読などが含まれます。

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テストが我々のカリキュラムにもたらした効果とは

本記事は2018年7月28日に東京で開催され『CAN-DOと4技能評価の英語教育について考える』セミナーにおけるMatt Saunders先生のプレゼンテーションを書き起こしたものです。

本校の現状 立命館アジア太平洋大学(APU)では、約6,000人の生徒が学んでおり、その内の半数が日本人生徒、それ以外は留学生であり、約89ヵ国からの留学生が学んでいます。様々な生徒たちが非常に興味深く混ざり合っています。APUでは、講義の基本言語として日本語または英語を選択することができます。日本語を基本言語に選択した生徒は一定の英語レベルを達成する必要があり、英語を基本言語に選択した生徒は一定の日本語レベルを達成しなければなりません。そのため、本校では非常に大規模な言語プログラムが提供されています。 英語プログラムには上級課程と標準課程の2種類があります。C1を目標として非常に高いB2レベル程度から開始される上級課程に入れる生徒は多くありません。標準課程は生徒のレベルに応じて0から開始され、B1以上を目標としています。標準課程には常時約1,200人の生徒が在籍しており、初級、準中級、中級、上級の4レベルに分かれています。 本校が抱える問題 大学ではすべての課程において、生徒に点数を付ける必要があります。本校の評価は「校内」で作成されていますが、外部の評価を利用して本校の生徒の学力と進捗状況を客観的に評価する方法も合わせて必要です。実際に求められているのは、実施が簡単で費用が高過ぎず、有効性と信頼性のある評価方法です。もちろん、APUは大学のパンフレットに生徒が信頼性のある試験で良い点数を出せるようになることを記載したいとも考えていました。そのために、本校ができることは何でしょうか? 試験と棒高跳び選手についての考察 本校における問題の解決策を紹介する前に、少し本題を離れて試験の一般的な重要性についてお話しましょう。私は、概して試験とは私たちの生活の普遍的な機能となっている点で非常に重要なのではないかと思っています。私たちは常に人々や物事を評価しています。視力検査、血液検査、運転試験など、様々な試験があります。試験とは新しい現象ではなく、社会規範の発祥と同様の長い歴史を持ち、勇敢さを試すための試験や成人するための試験などに遡ることができます。 そして、私たちは誰でも試験の作成者でもあります。私たちは常に人々を評価しています。 私たちはあらゆる種類の交流を通して人々を評価しています。例えば、ただの会話の中でも、あなたは話し相手が会話のトピックにどの位精通しているか評価しているかもしれませんし、相手の英語能力や日本語で会話が可能か、などの小さな事柄まで評価しているかもしれません。このように、あなたは始終物事を評価しているのです。読書をしている時も本の内容について同意できるか、同意できないか批判的思考を巡らせているでしょうし、これ以上時間をかけて読み続ける価値がある本なのかと考えながら読み進めているでしょう。 ですが、私が試験について考える上で一番重要だと思うことは、試験とは推測を可能にするためのものだということです。私たちは現実の世界において人がどのように行動するかを推測するために試験を行います。ですから、私たちは例えば、英会話能力試験などを行って、次のような推測をするのです: 実際の状況において受験者が試験結果と同等の言語スキルを使用したとしたら、受験者はいかに会話を成功させることができるか?私たちが求めているのは、受験者が現実世界でスキルを実践した場合に発揮される能力を私たちが(そして受験者自身も)理解するのを助けてくれる試験なのです。 現実世界でのパフォーマンスを考慮に入れることは重要です。棒高跳びの選手に対する試験を想像してみてください。良い棒高跳びの選手になるには、棒を持って非常に速く走らなければなりません。でも、走るスピードだけに注目したらどうなると思いますか?とても速く走ることができる選手がたくさんいて、その中から最も足の速い二人を選び、彼らが最高の棒高跳びの選手になるはずだと予想したとします––でも、彼らがバーを飛び越えることができるのかは誰も確認していません。確認したのは走る速さだけです。その場合、私たちはこの2人の素晴らしいアスリートを選び、「この2人が世界最高の棒高跳びの選手ですよ。世界で最も足の速い2人です。」とオリンピック委員会に推薦することになってしまうでしょう。でも、残念なことに、この2人の選手がバーを飛び越えることができるのかは実際に誰も確認していません。この場合、競技の技量を正しく推測をするために必要な確認方法を持ち合わせていなかったことになります。つまり、限られた種類のスキルだけを試験して生徒の全体的な能力として報告してしまえば、それは、まるで棒高跳びの選手の全力疾走のスピードにだけ目を向けて、選手がバーを飛び越えることができるのかを理解しようとするようなものなのです。 ここで、2つ目の重要な問題が見えてきます: もし選手が走るスピードだけを試験されると知っていたとしたら、選手はバランスと体幹の強化や棒の練習をやめてしまうかもしれません。コーチも選手が選抜されるために必要なのは速く走れるようにすることだけだと知っています。それでは、棒高跳びを英語に置き換えてみましょう。もし生徒が読解と文法だけ試験されていれば、生徒は他の分野を一生懸命勉強しなくなります。教師も不本意であったとしても、生徒が試験で良い点数をとれるように試験の対象となるスキルにのみ集中して指導するようになり、試験の対象範囲が一つの分野に限定されているのならば、その分野の中で良い成績を出せるよう生徒を促すようになるでしょう。しかし、全体像を見るのであれば、リスニングと読解の試験だけでなく、それ以外のスキルも試験すべきです。 問題解決 ついに、本題に戻りましょう。本校が採用した試験とは?APUにとってはGlobal Scale of Englishの導入、そして「Placement Speaking」「Progress」 が素晴らしい解決策となりました。「Progress」テストはコンピューターベースの試験です。この試験では4つのスキルに加え、文法と語彙が評価されます。本校では、リスニング、文法、語彙、読解のみを評価する他の試験を使用していましたが、約2時間半もかかる上に、生徒のスキルの完全な全体像を把握することができずにいたため、本校が知りたかったすべてのスキルを試験することができる「Progress」に切り替えました。受験料も安くなりました。より徹底した評価を得ることができ、受験時間も大幅に短縮されました。 もう一つの大きな違いは、以前の試験では受験対策のために分厚いテキストを使ってリスニングや文法の練習をするために、ライティングや英会話を練習するための時間が奪われていました。「Progress」はより多くのスキルを網羅しているため、それらのスキルにも時間をかけて勉強することができ、大学のアドミニストレーターも生徒のスコア上昇に満足することができます。ライティングと英会話に時間をかけながらも、生徒のすべてのスコアが大幅に向上するので、非常に良い結果が出ています。 生徒の反応 「Progress」テストを採用することで、生徒が目覚めて、積極的に取り組むようになりました。これは、問題が非常に多岐に渡っており、数多くのスキルが試験されているからだと私は考えています。生徒全員が顔を上げてテストのために勉強しているのを見るのは本当に新鮮で素晴らしいことです!生徒自身もテストに価値を見出しています: 私は生徒に「Progressを受験するために何をすべきか?どうすれば良い結果を出せるか?」を後輩にアドバイスするための手紙を書いてもらいました。私が想像していた以上に生徒たちはたくさんのアドバイスを書いてくれました。その中でほぼ全員の生徒が書いていたアドバイスを一つ紹介するとすれば、「一生懸命勉強すること」でしょう。 本校では生徒たちに「一生懸命勉強しなさい!」といつも言っています。しかし、生徒同士がそれを言い合うことはあまりありません。ですから、この変化はテストによって生徒の受験へのモチベーションが向上したことを示唆しており、一生懸命勉強すれば必ず身になると生徒に感じさせることができるテストであると考えているのです。だからこそ、私はモチベーションの真の向上が「Progress」の素晴らしい点だと思うのです。 結論 APUではスコアが上昇しています。「Progress」は間隔を置かず、頻繁に受験しても結果に大きな変化が見られないタイプの試験です。しかし、1学期、2学期と続けることでスコアが大きく向上するのを見てきました。あなたもその変化を必ず見ることができるはずです。

著者について

Matt Saunders先生は日本の立命館アジア太平洋大学で特任講師を務めています。カナダ出身で、2000年から日本で英語を指導しています。2012年にメルボルン大学で応用言語学(TESOL)修士号を取得した後、エクステンシブリスニングや言語力評価試験に強い関心を持ち、英語教授法が抱える問題に取り組んでいます。

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Case Study for English 4 skills CBT

*以下は 2018年6月15日、沖縄県にある興南学園の英語科:宮城 歩先生にインタビューした際の記録です。先生のご協力に、この場をお借りして御礼申し上げます。

Q:
興南学園様の取り組み、方針を教えていただけますか?
A:
学園としての理念は大きく分けて 2 つあります。まず一つ目は、校名の通り「南を興す」人材を育成することです。沖縄県から日本、世界と、生徒たちが活躍の場を広げられるようにサポートしています。二つ目は、急速な科学文明の発達・変化と複雑多岐を極める世界情勢に対応できる人材を育成することです。
【学校法人興南学園 興南中学校・高等学校】
【学校法人興南学園 興南中学校・高等学校】
具体的な取り組みとしては、平成 25 年からの iPad 導入や学内の Wi-fi 環境の整備、平成 29 年から Chromebook の導入など、新しいことを積極的に取り入れるようにしています。これも、最新の技術を活用し、多方面にアンテナを張ることで、急速な社会の変化に対応していけるようにと考えてのことです。また授業の場面でも、1 対 40 の集団授業だけではできないことが、タブレットなどのデバイスを用意することでかなり幅広い活動ができるようになってきています。 特にこれから大学入試改革や指導要領の改訂など、教育の大きな転換期を迎えます。英語 4 技能の指導実践に関しては、個々に対応したスピーキングの技能を含むアセスメントを行えるという点で、Pearson 社が提供する Progress*を平成 29年度より高校 1 年生対象に一部のコースで導入しました。
Q:
Progress を導入いただいてからの感想をお聞かせください。
A:
最初に Progress を見たとき、かなり細かいスコアのレンジがあるところが良いと思いました。クラス内には様々な学力レベルの生徒がいます。個々のレベルに合わせランダムに変化する出題形式は、どの生徒にとってもチャレンジができる点で評価できます。レベルや出題内容の決まった模試などと違い、生徒に充実感を持ってもらえるのが良いですね。 初回試験実施後のアンケートを見ても、「楽しかった、なんかすごいものが来た」「新しい時代の試験を受けている感じがした」など肯定的な意見が多かったです。もちろん 約 1 時間 PC に向かって受けることにも慣れておらず、疲れてしまう生徒もいたので、長時間の画面操作に慣れてもらうための工夫や支援は必要かもしれません。これらの指導は今後の教育改革に向けて、重要な支援になると考えています。 Progress は年3回の受験がセットで、初回は 3 月でした。次は 7 月の実施を予定しています。この調子で、生徒たちに習慣化させていきたいです。
Q:
普段の授業と Progress 受験との関連性についてはいかがですか?
A:
普段英語の授業ではスピーキングを重視した活動も行いますが、中心となるのは従来通りの基礎トレーニングです。 Progress を導入したことで、授業以外でアウトプットの場所を年 3 回設けることができ、生徒たちは「これまでに学んできた英語を様々な場面で実際に活用すること」を実感しやすくなっており、モチベーションの喚起にもつながっています。特にスピーキングセクションの問題では、絵や写真を口頭で描写しなければならず、自分の持っている英語力を全て出しきらないといけないほどの意識の高まりが感じられ、良い刺激になっているのではないでしょうか。
【受験している実際の様子】
【受験している実際の様子】
高校のコミュニケーション英語の教科書では、文化的な題材から科学技術・AI など、扱う内容がどんどん深くなっていきますが、Progress の場合は身近なことについて話すことができる、周りのものを描写できるといった、基礎段階の英語表現力がどの程度身についているのかをまずは確認することができます。成績の表示も 4 技能+文法・語彙の「6 項目」で細かく表示されるので、技能領域と知識領域の習熟バランスも把握できます。さらに CEFR や TOEFL iBT、IELTS 等のスコア換算表が用意されている(GSE という CEFR 準拠の尺度を介して他のテストと比較ができる)ので、英語力の高い生徒には 6 段階に分かれているレベルから最適なものを選び、受験させることで、さらに高い目標に向けて学習のモチベ ーションを向上させるものになるでしょう。生徒たちの英語力を向上させることが英語教師の役目ですが、この Progressで測定した結果というのは、教師の授業内容や展開について、今後の方針を考える上での指標にもなり、授業改善にも大いに役立つものだと思います。

取材協力/編集:教育開発出版株式会社

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