Impact Issuesをオンライン授業に使う5つのコツ

この記事を読む先生のなかには、オンラインでの授業に苦労されている方もいらっしゃることでしょう。さっとクラスを準備しなければならない時や緊急時には特に困ることでしょう。そこで、オンラインで言語クラスを教えるに当たり、失敗しないための準備のコツを5点、具体的に解説していきます。
以上の「コツ」はImpact Issues シリーズの利用を想定して書かれていますが、アドバイスの内容自体はこのシリーズ以外のコンテンツにも応用できます。


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オンラインの授業を準備しなければいけない先生や、どうすればオンライン授業で失敗しないのか、お悩みの先生に朗報です。困っているのは皆さん同じなのです。初めて設定するオンライン授業の準備に困惑し、うまくできないのではないかと不安を抱えている先生はたくさんいます。でも、これからご紹介する5つの具体的なステップを踏んで準備すれば大丈夫です。まず、心を落ち着けるところから始めましょう。自分にできるだけのことをすればいいのです。完璧である必要はありませんし、むしろ、完璧主義は良い授業の天敵なのですから。


Impact Issuesシリーズエディターとして、ご紹介する5つのコツはImpact Issues レベル1をオンラインで教えると想定して書いていますが、他のコースブックや、ご自分で作ったコースに簡単に応用可能です。


その1:リーダーシップを発揮する

教えることとリーダーシップは切り離せません。教師とは、方向性や基準を提示し、指導する立場であることはもちろんですが、熱意を持って、生徒の学習意欲を刺激し、心の面でも拠り所になるという役割もあることを忘れてはなりません。教師たるものリーダーであることを自覚し、生徒からは何を期待するべきか、明確に提示してあげましょう。


教えるという場には、必ず「不可能な難題」がつきまといます。私が初めて教鞭をとったのはPeace Corpsのプログラムで西アフリカの高校に派遣されたときのことでした。80〜100人規模の野外教室で、テキストもない、アナログな環境でした。状況だけ聞けば、当然「不可能」と言いたくなりますが、適切な研修を受け、この状況で何が達成できるのかという心構えができ、さらに、生徒の学習への熱意とやる気を引き出し、共同の取り組みへと向ける方法を学ぶうちに、「不可能」が「可能」に変わりました。
ちなみに、秘訣の1つは生徒一人一人にノートを持たせることでした。これが生徒たちには誇らしかったようで、熱心に黒板を写し、授業中も放課後も活用していました。当時、私たちにとっては画期的な「テクノロジー」だったのです。

クラスを引っ張っていくリーダーとして、生徒の評価方法を決めておきましょう。クラスへの参加やコース中のプロジェクトも含めた、クリエイティブな方法を考えてみると良いでしょう。


その2:教材をオンラインにまとめておく

魅力的なコンテンツは、効果的なオンライン授業には不可欠です。じっくり選びましょう。どれだけのコンテンツを使うか、事前に準備しておきます。Impact Issuesにはコンテンツを一箇所にまとめてあるツール「Pearson English Portal」がありますが、そのようなツールがない別のコースブックを使っている方は、独自のポータルサイトを作っておく必要があります。例えば、Googleドライブにファイルを作り、教材の本文、パワーポイント、ビデオ、オーディオファイルを入れるなどといった方法があります。


Teacher Resources in the Pearson English PortalPearson English Portalでアクセスできる先生用のリソース

ここで必ず、生徒がコースに参加するために必要なものを全て揃えるようにしてください。教材用に作られていないリアルな英語を使った難しめのコンテンツ、例えばYouTubeビデオやTEDトークなどといった題材を使うときは、トランスクリプトや訳文(ソースそのものに組み込まれていることもよくあります)、学習方法の手引き、理解度テストなどの補助教材を用意してください。
Impact Issues Teacher’s Resourcesには、知的好奇心を刺激するYouTubeビデオが3本付属しています。どれもが、コースブックの各トピックに沿った内容と長さを基準に選ばれています。
また、Impact Issuesシリーズは、様々な視点を提示し、生徒を考えさせる内容のストーリーを軸に構成されており、ディスカッションやプレゼンテーションといったアクティビティで、批判的思考、意見交換、周りに配慮した自己表現を奨励していきます。

教材を自作するのであれば、ご自分で手ごろだと感じるよりもやや難しめに設定することをおすすめします。ここでの鍵は生徒を引き込むことです。また、生徒は手強いと感じたときに奮起しやすいものなのです。


Impact Issues resources online Impact Issuesのオンライン・リソース

また、クラスでこれから使おうというコンテンツに、コースを指揮する立場であるあなた自身が満足していることも大事です。教師自身がハッピーで意欲的であることが、コースを通じて成果を出すうえで肝心だからです。


その3:学習管理システムをクラスごとに設定する

繰り返しになりますが、市販のコースブックを使うのであれば、大抵は専用の学習管理システム(LMS)が何かしら付属していて、スケジュールを作成したり、宿題を投稿したり、メールを送ったり、宿題を受け取ったりといった機能がついています。ものによってはビデオ会議までできてしまいます。付属LMSがないという方は、Google Classroom (classroom.google.com) や類似プラットフォームを利用して自分で簡易LMSを作ることができます。クラス作成、生徒の追加、使いたい教材のアップロードといった用途のほか、教材へのリンクや、課題を提出しフィードバックを受け取る場所を生徒に知らせるためにも使えます。


活動中のImpact Issuesの学習管理システム(LMS)

経験上、効率を最大にするには境界線の設定が必要です。私用メールと授業関連のメールは分けておきたいものです。自宅兼オフィスで、授業専用の仕事場を作る人がいるように、クラウドのストレージスペースも授業用のファイル保管専用に作ったほうがいいかもしれません。


ライブ授業用のツールとして、これまでになく容易にオンライン会議ができるようになりました。信頼できるプラットフォームを選び、定期ミーティングを設定しましょう。ライブのオンライン会議、プラットフォームの機能次第では生徒同士の「ブレイクアウト(小分け)」グループも、定期的に授業に取り入れましょう。週30分行うだけでも、クラスというコミュニティの雰囲気を維持し、学習を促進してくれます。

テクノロジーが飛び抜けて得意でもない限り、よくあることですが、クラス管理でどうするかわからない、コンテンツの表示ができない、といった技術的な問題や、それに伴うイライラはコースを進めていくうえで避けられません。このような技術面での問題にめげないことです。テクノロジーの細かい部分まで全てマスターしなくても、効果的な授業はできます。その都度学んでいき、独りで溜め込まずに助けを求めるようにしましょう。


その4:生徒のクリエイティブなアウトプットを重視する

「アウトプットを促すこと」は言語学習、特にオンライン言語学習の要です。つまり、独学ならこの程度は自然に出てくる、という範囲を超えたアウトプットを「やらせる」ということです。Impact Issuesは、出てきたストーリーのなかから興味を惹かれる部分を見つけてその理由を説明する、ストーリーの葛藤部分について自分の意見を表明し、クラスメイトと意見を交換し、反対意見を述べて自分の視点を説明する、ユニットに登場したアイデアをもとに自分で短いプレゼンテーションをするなど、従来のよりもたくさんの「アウトプット」を行うように作られています。ストーリーを読んだり聴いたりしてから理解度クイズに答えるだけでは、授業を通じた学習としてはあまりに受動的すぎますし、オンライン学習としてはあまりに参加の度合いが低いからです。


生徒からどんなアウトプットを引き出せるかを考えてみましょう。全アウトプットに対し逐一を評価したりスコアをつけたりする必要はありません。間違いを毎回指摘する必要もありません。クリエイティブなアウトプットで一番大事なのは自己表現と意見交換であり、生徒の自信や、学習における自主性を育てることなのですから。


Self-expression in front of the camera カメラ前で生徒によるクリエイティブなアウトプット

日記などのライティング課題や、意見を録音するなどの音声を使った課題、短いプレゼンテーションなどのビデオを使った課題を与え、設定済みの学習管理システム(ステップ3参照)を利用して提出させましょう。間違いを指摘するタイプのフィードバックではなく、手を差し伸べてあげるタイプのフィードバックを定期的に与えましょう。生徒が提出した課題について、生徒同士でコメントしあう機会があってもいいかもしれません。


その5:協力的な学習コミュニティを構築する

生徒同士の共同作業を増やす方法を探りましょう。Impact Issuesでは、Think about the Issue(問題について考える)Explore the Topic(トピックを掘り下げる)Present your Ideas(アイデアを表明する)という、3種類の共同作業があると考え、それぞれ、単独で作業するだけでなく、アクティビティを完了する過程で生徒同士がアイデアを共有し、他の生徒が表現したことに対して反応することを重要視しています。


クラスを4〜5名のグループに分け、メールや電話やソーシャルメディア、そしてSkypeやZoomなどのオンライン会議を通じて共同で課題に取り組ませ、課題やプレゼンテーションを共同で提出させてもいいでしょう。コミュニカティブ言語教授法が普及し始めた当初、英語教師は生徒のペアワークに対し、監視が難しいし、誤りを正すことができないから、と消極的でしたが、生徒同士が情報、アイデアや意見を交換する「ターゲット言語を使ったリアルなコミュニケーション」の利点にだんだんと気づき始めたのでした。オンライン教育でも同じような現象が起きています。生徒を監視したり、誤りを正したりできないからと抵抗を感じるかもしれません。しかし、言語使用へのフィードバックを超える価値が共同作業にはあるのです。


生徒同士、書いた作文を交換させ、読んだ感想を交換させましょう。Impact Issues のEngageセクション(ストーリー部分、2者での会話形式がほとんどです)を自分たちで読んで録音させましょう。Think about the Issuesセクション内の問いや意見文に対する回答を録音させましょう。Explore the Topicセクションで行ったディスカッションを録音させ、Group Exchangeで意見をまとめさせましょう。2人1組でPowerPointスライドなどのビジュアル資料を使ったプレゼンテーションを準備させ、Present your Ideasセクションで、SkypeやZoom、Camtasiaの録画機能を使ってビデオ録画しましょう。


オンラインで「ブレイクアウトグループ」を作り生徒同士協力し合うコミュニティを構築する

学習アクティビティに「ブレイクアウトグループ」を作り、定期的なビデオ会議ミーティングをクラス全体で行うことで、有意義な学習には非常に重要な、生徒同士協力し合うコミュニティを構築していくことができます。Impact Issuesでも採用しているような、リアルなコンテンツを使う場合、必ず教師として自分自身の意見や経験を入れるようにしてください。個人的な話を含めることが学習コミュニティの構築に役立つだけでなく、あなた自身の意欲と充足感を保つことにもなります。



まとめ


オンライン授業には様々な障害がつきものです。ストレス環境の下で授業の準備をしなければならないときは、ことさら辛いかもしれません。しかし、教えることの基本に立ち返り、教師という職を選んだ理由を思い出せば、オンライン授業が記憶に残るような、やりがいのあるものにする方法は必ず見つかります。適切なテクノロジーを学べば役に立ちますが、クラスの成否を分けるのは、あなた自身のリーダーシップと計画、そして生徒や生徒が直面する問題の数々への共感力です。この記事でご紹介した5つのコツを、オンラインクラスを準備し実施する手引きとして役立ててください。誰もが大変な思いをしているこのご時世、一緒に頑張っていきましょう。


その他のリソース


English Firsthandの著者Marc Helgesenが生徒が自宅でできるワークシート“Talk to yourself”を作りました。
以下のリンクからダウンロードいただけますので、是非ご利用ください。


ダウンロードはこちら (Zip/PDF, 3.5MB)

筆者Michael Rost紹介


Impact Issuesをはじめ、ピアソンのEnglish FirsthandやContemporary TopicsなどのESL/EFLコースブックのシリーズエディター。4レベル構成の完全オンラインコースPearson English Interactiveの主要著者でもある。言語学習、なかでもオーラルコミュニケーションの発達に関して数々の学術論文を発表しており、Google Scholarより参照可能。




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